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まえがきという名の弁解 ゆっくりを全然いじめてない上につまらないです 後半と前半でテンションがまるで違います ゆっくりらしい台詞はほとんど出てきません 一応ドスものです それでも構わんという心の広い人だけ読んでね 見ただけで気が触れそうな満月の夜。 人も近づかない、近づけないような森の奥深くを、ゆっくりと丸い巨体が進んでいく。 そのまん丸い巨体の頭頂部にのった巨大な黒いとんがり帽子。 ドスまりさだ。 しかし彼女はどうやら普通のドスとは様子が違った。まず髪に信頼の証の飾りがなく、 いつでも楽しそうなゆっくりと違い、一言も喋らず、やや物憂げな顔で歩みを進めている。 帽子の中にいくばくかの必需品はあるが、他のゆっくりなど一匹も入っていない。 このドスは他のゆっくりから信頼されていないのか? いや、違う。どのドスよりもこのドスは信頼されていたし、このドスもそれを自覚していた。 だからこそ、権威をふりかざすような真似に必要性を見出せず、飾りをつけようとするゆっくりをやんわりと断っていた。 帽子の中に他のゆっくりを格納しないのも、他のみんなに自分に守られるだけの存在になってほしくなかったからだ。 このドスはかなりの過酷な経験をしてきた。普通のゆっくりの時も、壮絶な生を生き抜き、ドスになれた。 ドスになり、群れを作った。その頃は飾りもつけ、帽子の中にゆっくりを入れて運んだり、遊んでやり、普通の標準的なドスだった。 いつまでも群れの幸せが続くと思っていた。しかし、それは間違いで。 やはり標準的なドスの群れのように、群れはゆっくり崩壊に近づき、やがて自分だけが生き残る。 生き残り、また群れを作った。また崩壊させた。 ある時は人間に騙され、ある時は反乱勢力が台頭し、ある時は自分たちを捕食するものに襲われ、ある時は… そうした繰り返しの中、幾度も守るべきものを奪われ、それでも崩壊しそうな理性をつなぎ留め、歯を食いしばり、目から餡子を流しながらこのドスは生きてきた。 そうしてようやく気づいた、自分がゆっくりを守るだけでは駄目なのだと。 己を己が守れるようにしてやり、自分はそれを精いっぱい手助けする。それこそが崩壊を防ぎ、群れを長続きさせる最善なのだ。 強烈な一つの個ではなく、小さな個を集めて強大な一つとする。それがこのドスのたどり着いた結論。 そのための群れの掟や、制度、システムを、実験を繰り返しながら練り上げた。 その途中で、人間という存在は自分たちと切り離された。彼らとは、出来るだけ関わらない方がいい。 そして、人間も滅多に入り込まぬ森に居住区を移した。 リスクはあった。外敵の存在、人すらあまり手をつけない自然環境。 しかし、それは普通のゆっくりに限った話。このドスになら、人間を含む、大抵の外敵は相手にならなかったし。 多少の危険な場所も、乗り越えていく強靭さがあった。 そしてその場所の下見を存分に終え、普通のゆっくり視点での対処法や生活方法を編み出し。 それを根気よく教育した。教育し、そして多少の手助けはするものの、決して全面的に支援することはなかった。 巣はあくまで自分たちで個別に作らせた。ドスを中心とした一つの巣は、ドスに対する甘えを呼ぶ。 そして自分たちで開拓させることにより、自分たちはこの環境に勝てるという意識を植え付ける。 普通のゆっくりでは無理だろうと思えるようなことだけは手伝ったが、他の事は一切手伝わなかった、指示も出さなかった。 それは普通のゆっくりなら、群れのボスとしての仕事を放棄した怠慢だと思ったかもしれない。 事実そう思ったゆっくりもおり、公然とドスを批判する者もあった。 「ドスはなんでまりさたちをてつだってくれないんだぜ!?みんなでたすけあってこそのむれだぜ!」 だがドスはそんな意見には取り合わず 「不満があるなら出て行っていいよ、ここよりゆっくり出来ると思うところがあるなら」 その言葉に憤慨し、出て行ったゆっくりも少なくない。だがドスは気にしなかった、残ってくれたものがいるのだ。 しかし、中には多くのゆっくりを言葉巧みに扇動し、少しでも大きな群れにして出ていこうとするものもいた。 そういうゆっくりだけは、秘密裏にドスは殺した。 普通のドスは群れのゆっくり、いやすべてのゆっくりの命に対して強い執着と保護心を持つものである。 まれにドゲスという命をなんとも思わないものもいる。 しかしこのドスは、あまりに多くの死に触れたため、すでにこのどちらでもない精神をもっていた。 自分はこの弱きもの達の圧倒的上位にいるのだから、管理せねばならない。 それは、動物の生息地をなるべく自然の状態で保護する研究者や、植物などを植え育て、森などを作る人間のようなそれであった。 管理者。そう、自分は群れのリーダーではない、管理者だ。 群れを崩壊に導きそうな悪い芽は潰す。そこには命を奪う快感も、罪悪感も、後悔も、何もなかった。 慈悲もなく、許容もない。 次に食べられる植物や生物などの教育を終え、ある程度生活環境が整い始めたら、外敵に対する対処を教え始めた。 いや、それは教えなどではなく、訓練であった。 狩りに出向ける個体に、ゆっくりでも協力すれば倒せる外敵に対しての戦闘方法を訓練させた。 チームワークを教え、何度も仮想敵に対する訓練を行う。 そのハードすぎる訓練に、脱落するゆっくりも少なくなかった。 その中で、本当についていけなかったものは訓練をやめさせ、別の仕事につかせることにした。 そういうゆっくりは元来こういう仕事に向いていないものなのだ。なので、子守や安全な地域の植物採取などを行わせる。 中には、ダルイ、ゆっくりできないなどの理由で訓練を放棄するものもいた。 その中で本当に疲れたふりをして訓練を抜けようとするやつは、戻らせて徹底的にしごいた後に、他の狩りゆっくりに命令を下す指揮官の教育を施す。 単純にゆっくりできないから反抗しているものは、大半は軽めの体罰をつけて戻らせた。 中にはそれに対してすら徹底的に反抗するものもおり、そういうものは群れから出てもらった。 ここでの振り分けはこうだった。まず普通に訓練を続けるゆっくり、こいつらは特に問題もない普通の狩りゆっくりになるだろう。 次に騙してサボろうとするゆっくり、こいつらは多少知恵の回る奴らだということで、生き残るためなら存分に知恵をしぼりだすだろう。 次に反抗するゆっくり、体罰を受けて戻るなら、それは自分本位ながらも多少の状況は判断できるということだ、どうにもならない状況なら自分のためにがむしゃらに生き残ろうとするだろう。 そして最後まで反抗したゆっくり、そこまで嫌ならこいつらの性根はそれまでである、頭も回らず自分の嫌なことにただ拒否するだけ。こういうのは危険にあっても状況がわからず、みじめに叫んで死ぬだけだ。 そうしてゆっくりをふるい分け、最終的な訓練卒業として外敵との実戦に移ってもらう。ある数の部隊にわけ、一つずつこれを行った。 この時、ドスは後ろでその光景を眺めていた。 戦闘が始まり、ある部隊は快勝を続けた。ある部隊は窮地におちいる。その中で、自分たちで奮起し、何とか勝利をおさめる部隊もあった。ある部隊は後ろで見ているドスに助けを求めた。 だがドスはどれだけ助けを請われようと、どれだけ惨たらしく群れの仲間が目の前で殺されようと、決して手を出さなかった。 ある部隊はドスが絶対に自分を助けてくれないだろうことに途中で気づき、絶望的ながら辛くも勝利をおさめた。ある部隊は最後までドスに助けを求めながら全滅した。 実戦が終わると、ドスは部隊の成績によって役割を与えた。前線で狩りをする部隊、狩りをしながらその部隊を護衛する部隊、居住区に残り守る部隊。 それはあたかも人間の軍隊のようであった。 中には教育や訓練をドスが任せるゆっくりもいた。いつまでも自分がやるわけにはいかないのだ。 そうして狩りの教育を終え、食糧が潤沢になってきたところで、食糧制度に手をつけた。 本来ゆっくりは冬以外に食べ物をため込むことはない、取ったら取っただけ、食べられるだけ食べる。 そして普通のドスの群れはそういう事態を憂い、食糧を一か所に集め、管理し、食べない分を非常用として保管する。 だが、それが一部のゆっくりの不満や懐疑を招き、結局反発され、群れが崩壊した例も少なくない。 では、どうするか。ドスはこれに大いに悩んだ、何せ食糧管理は反発を招く恐れもあるが、食料供給の安定した維持にこれ以上の手段はない。 そこでドスは食糧管理の仕事をわけることした。 つまり、食糧を集めるゆっくり達、集められた食糧の量を管理するゆっくり達、その食料の量を聞き分配するゆっくり達。 これによって相互をある種の緊張状態にし、互いに監視させ、一部の独走を阻止しようとしたのだ。 すなわち、食糧調達部隊は、その食料を献上しなければ、食糧管理部隊にすぐさま疑われる。 次に食糧管理部隊は、その食料を正確に管理しなければ、分配部隊に疑われる。 そして分配部隊は、それを正確に分配しなければ、たちまち分配される皆から疑われる。 多少の歪みは出るかもしれないが、致命的な崩壊には繋がりにくいとして、ドスはこの方法を選んだ。 そして、管理、分配の仕事はなるべく頭の良く、公平性があって信頼されているゆっくりでなければならない。 故にこの仕事につくゆっくりを、ドスは皆の推薦による選出と投票で選ぶことにし、もし選ばれたゆっくりに不満があるならば、一定数の投票で辞めさせられることにした。 そしてさらに、一定のサイクルで浄化するために、ある期限ごとに管理分配の仕事につくゆっくりを全員一旦やめさせ、もう一度選びなおす制度も導入した。 それはゆっくりによって形成された、未熟な政治制度のようなものであった。 ドスはゆっくりと色んな制度を導入し、根気よく教え込んだ。 そしてドスの手を借りずにそれが運営されていくようになると、後は全てを任せて手を引いた。 群れの運営がスムーズになり始めてから、遠くの地からドスが直接頼み込み、ゆうかりんを連れてきて農耕制度を作った。 さらに月日が流れ、世代交代にさしかかる頃には、教育制度を狩りの教育や、管理分配の教育、農耕の教育などにわけ、色んな仕事を選べるようにした。 すでに自分の手をほぼ離れて歩いて行く群れをゆっくり眺めながら、ドスは満足していた。 ようやく、自分の理想郷を作ることが出来た、と。ゆっくりがゆっくり暮らしていける理想郷を……。 そこはまさにゆっくり郷とも呼べるものであった。 だが最後に一つだけ、ドスは群れの中で自分だけが行う仕事を持っていた。 すなわち、罪を犯したゆっくりに対する、裁きと罰の執行を……。 夜の下を行くドスが、ある巣の前で止まった。 目的地だ。 その巣の中から、悲鳴のような声と耳が腐るような嬌声が聞こえてきている。 ドスがため息をつく、が、それには何の感情もこめられていなかった。 そしてゆっくりと、気づかれないように中を覗き込んだ。 中には一匹のゆっくりまりさとゆっくりアリス、そしてゆっくりれいむの親子がいた。 だがれいむ親子の様子はおかしい、親と比較的大きいれいむは動けないように痛めつけられ。 まだ交尾に耐えられないと思われる小さなれいむは、アリスによる一方的な性的暴行を受けていた。 「いやあああああああやめじぇええええええいじゃいよおおおお!!!」 「はぁっ!はぁっ!いやぁぁぁぁんかわいいいぃぃやっぱり犯すならちっちゃいゆっくりだわぁぁぁ!!」 親や他のれいむは涙を流しながら「やめてぇ…」「こどもだけはたすけて…」などと弱々しい声で呻いている。 「ゆっへへへ、やっぱりアリスのこうびをつまみにたべるのはさいこうだぜ!!」 そしてまりさはその隙に巣にあった食料をむーしゃむーしゃと食べていた。 押し込み強盗である。 実はこの二匹、最近この郷では有名な犯罪ゆっくりであり、すでに二件の被害報告が届けられている。 どの一家も無残に惨殺され、巣を荒らされていた。 さっき言ったように、ドスはゆっくりに対する裁きを行ってはいたが、それは普通のゆっくりには手に負えないと思われるものだけであった。 このドスの郷には、警察のような役割をもつゆっくりも、裁判もちゃんと存在する。 だがそれでは立ち行かないものがある……。法の手をすり抜け、悪事を続けるゆっくりは後を絶たなかった。 そんなゆっくりを、ドスは心底憎んだ。自分の作ったこの郷を、荒らすものだけは絶対に許さなかった。 ギリギリまで事件解決を見守っていたが、一向にゆっくり郷の警察ゆっくりでは犯人が捕まりそうな様子はない。 長く生きた知恵か、この二匹が次にどこで犯行をするかを予測したドスは、自分だけで制裁を加えるために動いた。 ドスは中の様子を確認した後、そこに向かって「出て来い」とだけ、ただ一言だけ言った。 それだけで十分だった。 色の変わらない体表が本当に青くなるんじゃないかというような顔をして出てきた二匹は、 ドスにすがりつき、必死に言い訳を始め、媚びへつらった。 「ゆるしてほしいんだぜ!まりさたちのいえにはたべものがたりなかったんだぜ!」 「そうなのよ!ついでにすっきりできるゆっくりもたりなかったわ!」 「ゆっ!これはきっとかんりふやぶんぱいふのやつらがわるいんだぜ!」 「そうよ!そうよ!それにどすといえどもむれのゆっくりをころしたりはしないわよね?」 「そうだぜまりさたちはなかまのはずだぜ!ゆるすべきなんだぜ!」 それは聴くに堪えない理屈だったが、ドスはしゃべり終えるまでじっと押し黙ったままであった。 そして何の反応も返さないドスに二人が不思議がっていると、ドスがようやく口を開いた。 「死ね」 そのまま開いた口から溢れる光が、二匹の見た最後の光景だった。 その二匹だけを焼き尽くすために威力を調節したドスパークの照射が終わると、ドスは巣の中に話しかけた。 「大丈夫、れいむ?動ける?」 「ゆぅ…なんとかうごけるよ…」 弱々しいながらも返事が返ってきて、しばらくしてから親れいむの三匹の子供がよろよろと這い出てきた。 「今から病院の方に行って、治療を受けるといいよ。まだ開けとくように言っておいたし、警察もそこに待機させてあるから、事情を説明して」 ドスがそう言うと、口の中に弱った子供を入れているのか、親れいむ達はうなずいてずりずりと這って行った。 れいむ達が行ってから、ドスは大きくため息をついた。 あきれしか出てこない。悪事を犯して、悪びれもせず許しを乞うあの二人。 驚くことにあれが普通のゆっくりなのだ。 わかっている、この郷のゆっくりは、もはや普通ではない。 人間のまねごとのようなものだが、決まり事を順守して生活を営むなど、昔では考えられなかった。 いや、今でも普通のゆっくりには考えられないだろう……。 何で自分たちはこうなんだ。なぜゆっくりは……。 知らず、月を眺める。 最近月を眺めていると、なんだか体の底から力が湧いてくるのだ。 これを活力にして、明日からも頑張ろう。 そう思っていた矢先である。 「はぁい」 それは、何もない空間を割いて、ぬるりと現れた。 妖しく光る髪と、鮮やかな紫の衣装艶めかしく。 「こんばんわ」 絡みつくような声を発し、出てきた裂け目に腰かけていた。 ドスは一瞬で敵だと判断した、それも自分でしか対応できないような。 「あんた誰だ?」 警戒しか含まない問いに、女は目をにこやかに細めると、 「やだ怖い」 口も吊り上げ、 「怖いから」 細めた目を開いて、 「私も怖くなっちゃおうかしら」 その場の何もかもが一変する。 肌を刺した空気で、一瞬で支配された場の雰囲気で、勝てない相手だとわかった。 ドスはため息をついた。このような相手がいつか来ることは、前々から何となくわかっていた。 自分が作った郷は、異常だ。考えの回るこのドスの目は、他の視点から自分達を見ることもできた。 こんなものは、人間からしたら恐怖でしかない。 わかっていた、でもやらずにはおれなかった。なぜ人間に許されることが、ゆっくりには許されないのか。 だから、それでも。 「ここを……潰しにきた?」 ほぼ諦観と、疑問を少しだけ含ませて問う。 人間の上位の存在、人を守るもの、調停者。この郷に対する自分のようなものが人間にも存在すること、それは容易に想像できる。 それが目の前のこの女なのだろう。 女は少しだけ意外そうな顔をすると、すぐに首を横にふった。 「まさか」 そして片手に持った扇子で口を隠し、 「でも、予想以上。そんな考えもできるのね」 そこから出る感情を見せないように呟いた。 「なら何を?」 今度は疑問だけで問うと、 「話をしに」 そう言って、今度は優しく微笑んだ。少し、安心できる笑顔だった。 女は隙間から地面に降り立つと、ドスと向かい合うように座り込む。 「そうね、じゃあまず最初、あなたはゆっくりって何だと思う?」 ようやく話し合いの場が整って、女は最初にそう問うた。 「……」 ドスは難しいと感じた。自分の存在は何だと問われているのだ、何と答えるか……。 「まぁ、難しいわよね。逆の立場なら私も言葉を濁す……一般的な定義を私が言いますわ」 女は返答を待たずつらつらと、 「そうね、饅頭の体を持ち、人語を操り、畑や民家を荒らす頭の悪い汚い野生生物……これが一般的なゆっくり」 挑発するようなその物言いだが、ドスは何も言い返さなかった。 「あら、怒らないのね」 「大方その通りではあるよ」 そう、と女は呟き、 「でも、それは悪いことではないわ。むしろ野生生物の本懐。これより傲慢で、危険で、自分本位な生き物はたくさんいるわ。人間だってそう」 そして、 「普通のゆっくりなら、先の発言には醜く憤慨すべき。それがゆっくりの在り方」 ドスは驚いて女を見つめた。この女は人間に嫌われるゆっくりの性質を何と言った? 「そう在るべきと言いました。多少の程度はあれど、ゆっくりがゆっくりらしく生きること、それこそがゆっくりの在るべき理由」 謳うように続ける、 「憎まれることも、慈しまれることも、虐められることも、世話されることも、全てがこの世界におけるゆっくりの在り方」 理解できない、いや、理解したくない。この女が真顔で今述べていること、それは。 「じゃあ、いつもどこかで繰り返されている、ゆっくりの悲劇……その全てが」 「そう、ゆっくりの生きる理由」 そのためにゆっくりは生きている。 「人間の……ために……」 女はふう、と息をつくと、 「ゆっくりの理由……ここまではいいかしら?」 衝撃から、ドスはまだ立ち直れなかった。 自分たちは言うなれば、人間のおもちゃとして生まれてきたのだ。それが自分たちの本来の在り方なのだと。 「あなた達はおよそ自然環境のどの役割も担っていないのですもの、そうとしか言えないわ……まぁ、これ以上ゆっくりについて議論する気はございません」 女はまだ話を続ける、 「そして次、次はあなた。あなたは果たして……」 あなたは、ゆっくり? 「!?」 問われた。自分はゆっくりか?当然だ、でなければ自分はなんなんだ。 「当たり前だ!」 声が荒れる。 「……あなた、自分を何て呼ぶ?」 女は少し息をついて、 「私……」 「その呼び方はいつから?なぜ?」 「いつからかは覚えていない。何故かは……この方が、らしいと思った」 「普通のゆっくりは、絶対に自分をそんな呼び方はしない」 心にザクリと矢が撃たれた、 「普通のゆっくりは、そんな言葉づかいもしない」 二発目。 「あなた、ゆっくり出来てる?」 「出来てるよ。毎日、郷の管理で、みんなの生活を見守るのが私のゆっくりだ」 「それはゆっくりじゃないわね」 「違う!それが……!」 「他人のための行為はゆっくりではない、ゆっくりの価値観に照らし合わせるならね」 三発目。 「御希望なら、この他にも理由を計上してあげましょうか?子供でも指摘できるものがまだまだあるわ」 荒々しく首を振った。三発。たった三発で、ドスの脳は理解した。 「……私を否定して、何が楽しいの?」 問いは、悲しみと怒り。 「……そうねぇ。あなたはゆっくりの在り方を外れている、ここまではいい?じゃあ次は、人間とゆっくり以外のもう一つの種族の話」 答えず、女は話を進める。 「妖怪の話」 「あなたは妖怪を知ってる?」 「……とても強い生き物。ゆっくりよりも、人間よりも」 投げやり気味にドスは答えた。 「正解。じゃあ、妖怪の種類。そこまではあなたも知らないわよね」 「……?」 女は師が生徒に教えを説くように話し始めた。 「まず、私は妖怪。わかるわね?」 「へぇ……」 ここに来て初めて女の正体が明かされたが、別段驚かなかった。 「私は同族もない、どうやって生まれたかも秘密のワンオフ妖怪よ。こういうのはそれほど数もいないの、さびしいわ」 女は泣き真似の仕草をしたが、ドスは冷やかな視線でそれを見ていた。 「いやん、ツッコミが欲しかったのに……まぁ、気を取り直して次」 女は小芝居をやめると話を再開する。 「次はメジャーな種族に属する妖怪。鬼、天狗、河童、吸血鬼……こういうのは結構な同族がいて、蛮行が広く知られているからカテゴライズされている」 「名前だけは何となく聞いたことあるよ。湖の館……妖怪の山……」 「大正解。ゆっくりにまで知れ渡っているなんて、中々……いや、あなただけでしょうねきっと」 「?」 「なんでもないわ、続けましょ」 女はコホンと小さな咳をすると、 「次は妖獣、これは強大な力を持った獣が、それ故にその生き物の枠を離れて妖怪になってしまったもの」 「動物が?」 「私の式達もこれね、竹林の兎達もそう。これが幻想郷には中々多い……自然が残ったままだからかしら」 ここで女は教鞭を振るう笑顔から、真顔に戻った。 「そう、人間を超える力を持って、その生物の寿命を超えた長い時間を生き、ついにはその定義から弾かれる……」 ドスも気づいた。いや、それはかつて、ドスだったもの。 「まるであなたのことね」 「違う……」 否定する声は、聞き取りがたいくらいにか細い。 「あなたはもう普通の人間より遥かに強いわね」 「違う……」 「あなたは今で何年生きた?普通のゆっくりの寿命は平均五年、巨大種なら十年ってとこかしら」 女は辺りを見回し、 「この郷、ここまでするのに少なくとも十年以上はいるわよね」 「違う……」 「定義から外れる、これはさっき散々説明したから言うまでもないわね」 「違う!!」 違う、違う。私は、私は…… 「あなたは、妖怪よ」 「正確にはゆっくりと妖怪の境界線……その上に今のあなたはいるわ」 その言葉に、うつむいていたドスは少しだけ期待をこめて見上げた。 「でも、その境界がゆっくりに傾くことは決してない」 絶望を、女は吐く。 「これからあなたは、ゆっくりと妖怪になっていく……いや、今でも弱い妖怪程度ならいい勝負をするでしょうね」 「……」 妖怪は応えなかった。もう何も応える気もなかった。 「ゆっくりが、この幻想郷に誕生してもう何年経ったのかしら……そろそろだとは思っていたけれど、私が見つけたのはあなたが初めてよ」 女は、満月の空を見上げ、 「永琳に改造されたわけでもなく、自然に生まれ、自然に生きてきたあなた。ここまでの生、私は敬意を表します」 そして、再びその妖怪へ視線を向けると、 「そして、幻想郷はあなたを受け入れます」 「……そう」 妖怪も女を見つめ、ただそれだけを呟いた。 女が軽く扇子を振ると、空間の隙間は再び開いた。ゆったりと浮き上がりその中に下半身を入れる。 「では、ごきげんよう。これからあなたがどんな選択をして、どう生きるのか。少しだけ楽しみにしてますわ」 上半身だけを出してそう言った後、女は隙間に消え、何事もなかったかのように閉じて元に戻った。 後には月を見つめる妖怪だけが残された。 それから、ゆっくりの郷からドスは姿を消した。 ゆっくり達は思った、ドスがついにすべてを自分たちに任せてくれたのだ、と。 ドスが、自分たちで何かが成せるようになると、必ず身を引いたのをゆっくり達は世代が代わっても覚えていた。 その郷の歴史に、偉大なるドスの名が刻まれ。 後にはゆっくりと続いていくだろう、理想郷だけが残された。 あとがきという名の言い訳 今回はゆっくりいじめ作品としては駄作極まりないと思われる本作を読んでいただきありがとうございます。 ゆっくりいじめに憧れていました。色んな作品を読み、深く感銘を受けました。 自分もこんな作品を書いてみたい、彼の憎き饅頭を虐め抜きたい、そう強く願い、ようやく実行に移った次第ではありますが 出来上がったのはこんなものでした。皆さんのような、加虐心に油をドンドコ注ぐゆっくり語や、醜い物言い、くさった饅頭心。 何もかも自分の実力では描けない、難しいものでした。才能のなさが恥ずかしいです。修行の足りなさを実感しました。 まあ自虐はこれまでにして、本編の補足です。 今回のゆっくりの生活制度はまったく人間のそれのパクリです、そして世界はこんなに簡単ではありません。多分。 本当はドスに反発して「ゆ゙っぐり゙でぎな゙い゙い゙い゙い゙!!」と叫ぶゆっくりの描写をふんだんに取り入れてみたかったのですが、どうにも力不足でした。 後半の会話にいたっては雰囲気がまったく前半と違ってしまい申し訳ないです。これではただの東方SSです。本当に(ry それにしても、ドスはこれほどまでにならなくても、人間を殺せる時点で十分妖怪だと僕は思いました。 最後に、こんな作品とやたら長い言い訳を最後まで読んでくれた方にもう一度お礼を。また修行して今度は上手く書けるように目指したいです。それでは。 このSSに感想を付ける
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早苗から相談を持ちかけられた時、魔理沙にはそれがどういう内容か何となく見当がついていた。 早苗がゆっくりを可愛がっているのは魔理沙も耳にしている。大方、今回の相談もゆっくりに関した事だろう。 「それで、相談っていうのはなんなんだ?」 座布団の上に腰を下ろし、話を促す魔理沙。早苗から早々に出された羊羹は、既に食べ終わっている。 「はい……。実は、ゆっくりの事なんですが……」 やっぱりか、と心の中で呟く。 「どうした? 長い間飼ってたら鬱陶しくなってきたか? 鬱陶しいなら食べるに限るぜ!」 「そ、そんな事ないです! あの子達は可愛らしいですよ! それを食べるなんて……」 魔理沙のセリフに早苗の返事は怒りの込められたものだった。 普通ならあり得ない反応に魔理沙は心底驚く。 幻想郷でゆっくりといえばその言葉とは裏腹に、煩い、鬱陶しい、ストレス解消玩具で知られるまんじゅう型のナマモノの筈だ。少なくとも魔理沙の周りにあれを可愛いと思っている奴なんて1人もいない。良い感情を持つとしてもせいぜい美味しいぐらいだ。 てっきり早苗も食用として飼っていると思っていたのだが、まさか愛玩動物として飼っているとは思わなかった。 魔理沙は素直に思った。物好きな奴だ、と。 「それじゃ、何が問題なんだよ?」 「実は……ゆっくりが大きくなってしまって……」 「ああ、あいつらはすぐ大きくなるからな」 魔理沙の脳裏に、紅白色のふてぶてしい顔をしたまんじゅうが何体か浮かぶ。どのまんじゅうも、霊夢に叩きつぶされたものだ。 切り出しづらいのか言い淀むが、たどたどしく早苗は話を続けた。 「はい……すぐ大きくなるんですけど……ちょっと違ってて」 「違うって、大きくなるに違いなんてあったのか? 初めて知ったぜ」 「ええ、その……大きくなりすぎてしまって……」 「なんだ、可愛がりすぎだぜ。どのぐらいになったんだ?」 「えっと……これぐらいです」 早苗は指を一本立てた。 「1メートルか。よくもそんなに育てたな」 呆れた様子の魔理沙に、慌てて早苗が答えた。 「あ、いえ違うんです。これは数字とかじゃなくて……」 早苗は指を立て、そのまま上に動かした。 「この部屋の天井に当たるぐらい……」 「なんだって?」 魔理沙はまず、早苗の正気を疑った。 なんてふてぶてしい姿なんだ……。 部屋に入り、まず魔理沙が思った事はそれだった。 取りあえず現物を見ないと何とも言えない魔理沙は、早苗の案内でそのデカゆっくりれいむのいる部屋へ足を踏み入れる。 部屋は10畳ほどある広々とした和室。壁際に押し入れがあるものの、普通なら静かにお茶を飲みながらのどかに過ごすための部屋なのだろう。 その部屋の半分を今、まんじゅうが征服していた。 「……でかいな」 「やっぱりそうですか……」 せっかく落ち着いて過ごせる筈の場所が、座っていればまんじゅうが気になり、気が散るようになっていた。 デカゆっくりれいむは、あまりにデカすぎてもはやまんじゅうの原型を留めておらず、もうまんじゅうというよりは部屋に出来た小さな山のようだ。現に顔もどこにあるのかよく分からず、その特徴的なリボンとまんじゅうの皮でどうにか判別出来るぐらいだ。 そのデカゆっくり山の側では、デカゆっくりの姉妹なのか、普通のゆっくりれいむ達が飛び跳ねながら「早く動いてね!」「早く遊ぼうね!」としきりに騒いでいた。 「この子達もこんな事は初めてらしく、こうやって心配していて……」 早苗の言葉に、魔理沙はれいむ達が心配して騒いでいるんだと初めて理解した。てっきりいつものように鬱陶しく自己中に動き回っているかと思ったのだ。 れいむ達を見ている内に魔理沙は「サッカーしようぜ!」と1匹ぐらい蹴り飛ばしてレヴァリエで突き刺したい衝動に駆られるが、その瞬間、魔理沙の知らない早苗を知ってしまいそうなので我慢した。怖い巫女は1人だけで充分だ。 「こいつ、喋らないのか? ゆっくりとも言わないぜ?」 デカゆっくりはこれまで一言も喋っていない。ゆっくりが出会って開口一番に言う「ゆっくりしていってね!」もなければ、姉妹達の言葉にも口一つ動かしていない。顔の位置はわからないが、どうも眠っているようにしか見えなかった。 「ちょっと大きくなった頃は普通に喋っていたんですが、大きくなるにつれて喋らなくなって……今だと食事時にご飯を持ってきたら口を開いてくれるぐらいなんです」 「贅沢な身分だぜ。変な物でも食べさせたんじゃないか?」 「普通に私たちと同じものを用意していたんですが……それが原因だったのかな」 魔理沙はだんだん頭が痛くなってきた。 普通ゆっくりに食べさせるのは、良くて残飯、普通で生ゴミ、悪くて食事時だけ外に放り出すという流れだ。普通なら食べられない金属類を無理矢理食べさせたなんて話も聞いたことはあるが、自分と同じご飯を用意した奴は聞いたことがない。 「どうすればこの子を元に戻せるんでしょうか……?」 「ああ……」 深刻そうな早苗の様子に、魔理沙は迷い始めた。 こんなにでかくなったゆっくりは初めてみたが、でっかくなった理由も、そして元に戻す方法には心当たりがある。しかしその方法は……。 「……早苗、このタイミングで相談したのは正解だったぜ」 「ど、どういうことですか……?」 魔理沙はデカゆっくりのまんじゅう肌に触りながら、 「これはな、妊娠しているんだ」 早苗の思考回路は停止した。 「え?」 「ここまで大きい奴は私も初めてみたが、ゆっくりがこんなに大きくなる理由なんてそれしかないぜ」 真面目な口調の魔理沙に冗談で言っていないと理解した早苗は、なんと返したらいいか悩んだ。ゆっくりが妊娠するなんて考えもしなかった事だ。いやそういえば、以前はずっと仲良くしていた別のゆっくりがいたけど、最近姿を見ないような……。 あれこれ考え、取りあえず浮かんだ事を口に出した。 「……お、おめでたいですね!」 「そうだな、普通ならおめでたいかもしれないが……」 早苗の言葉に笑いもせず、魔理沙は話を続けていく。 「ゆっくりが生む赤ちゃんの数は、そのゆっくりの大きさに比例するんだ。詳しくは私も知らないが、どうも中身のあんこに徐々に皮が付き始めて小さな子ゆっくりになるらしいぜ」 「そ、そうなんですか! 初めて知りましたそんなこと!」 「知ってたらむしろ驚くぜ。これだけ大きかったら、平然とはしてられない筈だからな」 「……え?」 「生む子供の数は大きさに比例するって言っただろ? ゆっくりは体の中で出来た子供を口から吐き出して出産するんだが、それは体の中身を吐き出すようなものだぜ? 激痛だろ。私が見た大きさでも、全部生んだ頃には瀕死になっていたからな」 「それって……それじゃ」 「このまま出産させたら死ぬな、このゆっくり」 自分の聞き間違えかと訪ねるが、魔理沙からは同じ言葉しか返ってこない。 早苗は自分の顔から血の気が引いていくのを感じた。 「たくさんの子供が欲しいなら、このまま放っておけば──」 「い、嫌です!」 魔理沙の言葉を振り払うように早苗は叫んだ。魔理沙に助けを求め、縋りつく。 「あるんですよね魔理沙さん! この子を助ける方法、あるんですよね!」 「……」 「魔理沙さん!」 「……ある」 早苗の顔が一瞬にして豹変した。目が見開き、後光でも差したかのように魔理沙を見つめている。 その表情の変化に魔理沙は焦った。 どれだけゆっくりが大切なんだこいつ……。 「ほ、本当ですか?」 「ああ、本当だぜ。ただこれだけでかいとかなり辛くなるが、それでもやるか?」 「元に戻るなら何でもします」 「それじゃ……まずは家に帰って道具を取ってこないとな」 さっさと行ってしまおうとする魔理沙。しかし早苗に腕を掴まれ、動けない。 「それで、ど、どんな方法なんですか!」 押し迫る早苗。一筋の冷や汗が魔理沙の顔から流れ落ちる。 「……ああ、それはな」 魔理沙はもう隠そうとはせず、はっきりと内容を伝えた。 デカゆっくりはゆっくりしていた。この上なくゆっくりしていた。 今の自分は昔のように飛び跳ねる事は出来ない。喋る事も出来ない。 それは子供が出来たから。 動けない事や喋れない事は苦にならない。今こうして子供が生まれようとしているのは嬉しいし。自分のお母さんもきっと喜んでくれるからだ。 デカゆっくりが思い浮かべているお母さん。それは早苗の事だった。 外敵に襲われ、姉妹そろって瀕死になっているところを助けてくれたお母さん。1匹の時は一緒に遊び、4匹が一緒に楽しそうにしている時は遠くから見守ってくれる。毎日美味しいご飯を用意してくれて、1匹でも居なくなっていたら深夜でも見つかるまで一生懸命探してくれるお母さん。一緒にゆっくりしてくれるお母さん。 そんなお母さん的な存在の早苗に喜んでもらいたい。デカゆっくりはそう思いながらゆっくりしていた。 「大丈夫か? 震えてるぜ?」 「は、はい! 大丈夫です!」 「他のゆっくり達はこの近くにはいないんだよな?」 「はい。魔理沙さんが準備しに帰った後、言われた通り遠ざけておきました……」 「上出来だぜ」 ふと、話し声が聞こえてきた。徐々にはっきりと聞こえてくるので、こっちに向かって来ているんだなとデカゆっくりは思った。 ご飯の時間にはまだ早い。また心配してやってきたんだろうか? ゆっくりしていれば良いのに。自分が大丈夫なのは自分が一番よく知っている。 お母さんを悲しませているのは辛いけど、デカゆっくりは気にしないで、変わらずゆっくりすることにした。 部屋の襖が開かれ、2人が入ってくる。 「あらためて見てもやっぱりでかいぜ。早苗、準備はいいか?」 「は、はい! 頑張ります!」 叫ぶとともに、決死の表情でデカゆっくりに近づいていく早苗。 目の前までいくと、その場で何度か深呼吸をする。決心はした。しかし躊躇せずにはいられない。 臆病になりそうな自分の心を必死に支えながら、早苗は構える。 その手には、光沢の目立つ金属バットが握られていた。 「ええぃ!」 「ぐぼぁっ!」 それまでゆっくりしていたデカれいむの顔が凍り付く。 突然伝わってきた衝撃に、デカゆっくりは大量のあんこを吐き出した。 「ひ、ひぃっ!」 ぼとぼとと口から落ちてくるあんこ。思わず早苗は手を止めてしまう。 「手を止めるなよ、続けないと元に戻らないぞ」 「は、ハイ!」 慌ててバットを握り直し、大きく振りかぶってデカゆっくりの体を殴打す る。 「げぼぇあっ!」 ゆっくりしすぎて喋れなくなっているデカゆっくりは悲鳴が出せない。ただあんこが吐き出される時に、口から音が聞こえるだけだ。 ゆっくりは何をされているのかわからなかった。あれほど優しく自分達とゆっくりしてくれたお母さんが、どうしてこんな苦しいことをするのか。叫んで止めたかった。「ゆっくりさせて!」と叫びたかった。 「まだまだ大量にあるが、あんこは全部吐き出させるなよ。子供用のあんこは全部吐き出してもいいが、生命維持するためのあんこまで出したら死ぬぜ」 「ハイ! えい、えいえいえいえい!」 「ぎゅごげぎゃごごじゅばう゛ぉええぇっ!」 早苗がバットを振るたびに吐き出されていくあんこ。飛び散ったあんこが早苗の顔を、服を汚していく。 このあんこの一つ一つが、ゆっくりの子供みたいなものだ。 気づけば、早苗の顔には涙が浮かんでいた。 「えぃ! うぅ……えぃ! え゛ぃっ!」 「早苗、振りが弱くなってるぞ。助けたくないのか?」 「たずげまず!」 強く振り抜いたバットはゆっくりの体を大きく凹ませ、大きなバットの跡をつけていた。 「頑張らないと、このゆっくり死んでしまうぜ。それともこいつは見捨てて新しく生まれてきた子を育てるか?」 「いや゛です! この子の代わ゛りな゛んでいま゛せん!」 何度も何度も殴打する。「ぐぎょぎゃ!」「ぎょぎゅえっ!」と押し出されていくあんこは、ゆっくりの替わりに畳の上へ山を作ろうとしていた。 「早苗にとって家族のような存在なんだろ?」 「そうでず! 神奈子様や諏訪子様とばまがっう、わたしのかぞぐでず!!」 早苗の顔はあんこと涙でぐしゃぐしゃになっている。それでも早苗は手を休めず、ひたすら目の前のデカゆっくりに金属バットを振り続けた。 「ぐぉげぁ……ゆ゛、ゆ゛ぐ゛り゛っ」 「……えっ?」 思わず、早苗の手が止まった。 「ゆ゛っぐり゛ざぜでよ゛ぉっ!!」 「……ま゛、ま゛りざざん! 喋ってぐれま゛じた!」 「ああ、喋れるぐらいには吐き出したみたいだぜ!」 喜びはしゃいでる早苗がゆっくりはわからない。ゆっくりさせてと言っているのに、どうしてお母さんは邪魔をするの? 「だ、だずげでぇ……っ!」 「ご、ごめ゛んね……っ、でもごれも貴方のだめなのっ!」 また一つ、ゆっくりの体にバットの跡がつけられる。 「いだいよぉおぉっ、くるじいよぉおぉおっ!」 「ごめんゆっくり、がま゛んじてっ! がんばっでずぐすまぜであげるがら……っ!」 「れ゛いぶのあ゛かぢゃんじんじゃう゛よぉっ!」 「えっ!」 早苗はデカゆっくりが、自分が妊娠したことを理解していないと思っていた。あれだけ心配しても何も言わず、焦ることなくゆっくりしていたので、てっきり大きくなった理由なんて気にしないでゆっくりしているのかと思っていた。 でも実際には、赤ちゃんが出来て喜んでいた。産もうと思っていたゆっく りがいた。 その赤ちゃんを、今自分が殺している。 止めどなく涙があふれて来る。罪悪感と後悔が自分を襲う。 「うっ! うぅ……っ」 「だずげでよぉっ! やめ゛でよっ、おがあ゛ざんぅぅぅっ!」 「うっ……!」 「よ゛ろごんでよぉぉお゛ぉっ、おがあ゛じゃんぅぅっっ!!」 「うあ゛あ゛ぁぁあ゛あ゛ぁあ゛あ゛ぁぁあ゛っ!!」 早苗はデカゆっくりの言葉を振り切るように、必死にバットを振り続けた。 「……うっ……う、うぅっ……!」 「……」 「うあっあああ、ひぃっ!」 「……ほら、泣くなよ早苗」 床に座り込み泣き続ける早苗。その目の前には山となった大量のあんこ、そして吐き出すものを吐き出し、皮が余りまくったデカゆっくりが横たわっている。顔の位置は相変わらずわかりづらいが、どこからか「ゆっ……、ゆっ……」と聞こえてくる。瀕死だが生きてはいるらしい。 魔理沙は泣きやまない早苗の肩に手を置いた。 「赤ちゃんはまた作れるぜ、だけど死んでしまったらそれまでだろ?」 「はい……はいっ……!」 「今は泣くより、このゆっくりをちゃんと治してやる方が先決だぜ?」 「はい……はいっ!」 返事はするものの泣きやまない早苗。しかし泣きながら立ち上がると、目 \の前にあるゆっくりの皮を破れないように畳み始めた。 魔理沙は適当にまとめて持って行くのかと思っていたので、こんな時でも 几帳面な早苗に少し笑ってしまう。 「これだけ大きいといつになるか分からないが、皮は徐々に小さくなっていくからな」 「はいっ、……ぐずっ」 泣きながら、出口の襖へ向かう早苗。 「このあんこはどうするんだ?」 「……こ、この子のこどもだから、あとで埋葬してあげまず……」 「そうか」 その言葉を最後に魔理沙に背を向け、早苗は静かに去っていった。 「……ゆっくりのどこがそんなにいいんだか」 ぽつりと呟くと、魔理沙はあらためて部屋を見渡していく。あんこが一面に広がって甘ったるい空間。早くこんな所からは出て行きたいところだが、魔理沙にはまだ確認しないといけない事があった。 魔理沙はあんこを避けながら、壁際にある押し入れの襖へ手をかける。 そのまま襖を開けると、中には口を塞がれ、身動きがとれないように箱詰めにされたれいむ姉妹の姿があった。 準備があると家へ戻った振りをしていた魔理沙は、姉妹達が早苗から離れた瞬間に全員捕まえ、この押し入れの中へ隠しておいたのだ。 「聞こえたか? さっきの」 魔理沙の言葉に、しかし姉妹達はあまり反応を示さない。全員が全員震えながら涙を流している。 「その様子だと聞いていたみたいだな」 そのまま姉妹達を箱から出し、1匹1匹きちんと口を開けてやる。 「いいか? 子供なんて作ろうと思うなよ。あのでかいのみたいに潰されるぞ」 「やぁだぁ!!」 「れいむたちゆっくりしたいのっ!!」 「たすけてよおねいさんっ!」 「ゆっくりしたいなら子供を作らない事だな。お前達が子供を作ると迷惑な 奴らもいるんだぜ。神様とかな」 「わかった!」 「子供は作らないよおねえちゃん!!」 「ずっとゆっくりしていくね!」 そこまで聞ければ充分だ。どこまで守れるかはわからないが、ゆっくりを教育するにはやはり恐怖心を訴えるのがいい。 魔理沙は姉妹達を押し入れから出してやる。 「ようやくゆっくり出来るよ!」 「ゆっくりしようね!」 その時、魔理沙の頭に妙案が舞い降りてきた。 「……そうだお前達、腹が減ってるだろう」 「お腹空いたよ、でもそろそろお母さんがご飯くれるよ」 ご飯が出来るのが当たり前のようにいうゆっくりに魔理沙は腹が立った。むしろ食用のまんじゅうが、どこまで甘やかされてるんだこいつらは……。 「そのお母さんから言われているんだ。そこにあるあんこ、食っていいぞ」 「ほんとに?」 「ああ、私は嘘なんかつかないぜ」 魔理沙が早苗と仲良く話していたのを覚えているのだろう。対して疑いもせず、ゆっくり達は喜んであんこを食べ始める。もっと知能があれば、早苗が去り際になんと言ったか覚えていただろうが、ゆっくりには無理な相談だ。 「うめぇ」「メチャうめぇ!」と声が響く中、魔理沙はあんこくさい部屋から逃げるように外へ出る。 「やれやれ、神奈子の苦労がよくわかるぜ」 以前、話していた時に、「早苗のゆっくり溺愛はどうにかならないか」と愚痴っていたのを思い出す。もしあのデカゆっくりがそのまま子供を産んでいたら、神奈子はもう我慢出来なかっただろう。 あんこ食ってるゆっくりを見て、早苗もゆっくりがどういう奴らか考え直したらいいが。 魔理沙はそのまま箒に跨ると、自分の家に向かって飛び去っていった。 後日、魔理沙が早苗に会いに行くと、周りにいたゆっくり達が早苗を怖がるように震えている。 早苗とゆっくりの間に何があったのか、魔理沙は触れようとしなかった。 End 最後まで読んでくれてありがとうございます。 何かいい虐待ネタはないかと考えていたら、レスに茎が生えていく以外の繁殖方もそろそろ読みたいとあったので、それじゃお母さんれいむのでかさをシンプルに妊娠として腹バットを書いてみた。 なんだかゆっくり虐待というより早苗いじめに(ry 不満はありますが、腹バットと愛しているから叩くという微妙にアンビバな心理状態が書けたのは個人的に満足しています。 しかしなんで俺は気づいたら姉妹だか家族だかのれいむを虐待してしまうんだろう、わからない。 本当に虐待したいのはれみりゃなんだけどな……。 by 762 このSSに感想を付ける
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(ゆっくりあるいていってね!) どーん、どーん、どーん、どーん。人里離れた静かな山奥に、一際大きく響く太鼓と男の怒声。 ここはゆっくり牧場。食用のゆっくりを繁殖させる為の施設。 牧場主の「歩け!歩けーーー!」の号令の下、ゆっくり達がゆっくりと行進している。 世は空前の甘味ブーム。老若男女、あらゆる人々が珍しい甘味を欲していた。 そんなブームに乗っかってできたのがこのゆっくり牧場。ゆっくりを繁殖させ、加工し、出荷している。 この牧場で生産されるゆっくり菓は、他と違う一手間を加える事により、市場で絶大な人気を博していた。 その手間とは、ゆっくり達を一切ゆっくりさせない事。ゆっくりさせない事によって味に深みが出て、 その辺にいる野生のゆっくりを食べ飽きた、食通達をも唸らせる菓子ができる。 この牧場の主力商品『泣きゆっくり』を作るため、今日もゆっくり達は歩かされるのであった。 「歩け!歩け!止まるな!ゆっくりするな!」 「止まった奴は繁殖部屋行きだ!死ぬまで強制的に生ませ続ける!生む機械だ!」 「死にたくなかったら歩け!歩けえええええ!」 ゆっくり達は行進を続ける。太鼓の音に合わせ、二列縦隊で一周400mのトラックを歩き続ける。 その間隔は正確に一秒につき一歩。ゆっくり達の周りには鞭を持った男達が目を光らせている。 リズムを乱したものや、落伍したものには容赦ない制裁が加えられた。 「ゆぅ・・・もう・・・もういや・・・」 「ゆゆっ!だめだよ!とまったらおしおきされるよ!」 「もういやだあああああああ!れいむはゆっくりしたいのおおおおおお!!!」 一匹のれいむが叫びながら逃げだした。ここのゆっくり達は全て、生まれ落ちてすぐに この行進に加えられる。生まれてから今まで一度もゆっくりなどした事が無い。 しかし、親から受け継いだ餡子に刻まれたゆっくりとしての存在意義、ゆっくりとする事。 死の恐怖で縛られていても本能には逆らえず、しばしばこの様な個体が出てくる。 このれいむの末路も今迄にいた逃亡を企てたものと同じ。見せしめの体罰の後、繁殖部屋送り。 ほどなく職員に捕まえられたれいむはゆっくり達の前に連れてこられる。 ゆっくり達はぴょんぴょんとその歩みを止める事無く、れいむへの虐待を見せつけられる。 「このゆっくりは今、列を抜け出しゆっくりしようとした!」 「いつも言っているはずだ!そういう行為は一切認めていないと!」 「繰り返す!ゆっくりしようとしたものは、無条件で繁殖部屋行きだ!」 ぴょんぴょんと行進を続けるゆっくり達の横で牧場長が怒鳴る。 その手には髪を抜かれ、片目を抉られ、底面に焼きを入れられぐったりとしたれいむの姿が。 ゆっくり達にはどうする事もできない。ただただ、泣きながら行進を続けるだけ。 「ゆぅぅぅ・・・」 「れいむぅ・・・れいむぅぅぅ・・・」 「ゆっくりしたいよぅ・・・」 ゆっくり達の行進は続く。疲れた、お腹すいた、ゆっくりしたい、などと泣きながら歩き続ける。 そんなゆっくり達の周りに、背にタンクを背負った職員達が集まる。食事の時間だ。 食事と言っても野生のゆっくりの様に「むーしゃ、むーしゃ、しあわせ~♪」とできる訳では無い。 職員達はタンクから延びたホースを手に取り、ゆっくり達にシャワーを浴びせる。時間にして十秒ほど。 タンクの中身は成長促進剤と強力な栄養剤。皮から栄養を摂取したゆっくり達は歩き続ける。 十秒チャージ、二時間キープ。このサイクルが出荷されるまで続くのだ。 Sサイズとして出荷されるものは三か月、Mサイズは半年。贈答用のLサイズともなると一年も苦行が続く。 「さあ歩け!歩け!ゆっくりするな!ゆっくりするな!」 「お前達に許されているのは歩く事と泣く事だけだ!」 「ゆえええええん!ゆえええええん!」 「どうじでこんなめにあうのおおおおおお!」 「だれかゆっくりさせてよおおおおお!」 (ゆっくりうんでいってね!) ゆっくりの繁殖部屋。近隣で捕まえたゆっくりや、列から逃げ出したゆっくりが集められている。 身動きも取れない程にギッシリと詰め込まれたゆっくり達。天井からは霧状になった薬品が降っている。 ゆっくり用の媚薬と栄養剤が混ぜられたそれを浴びたゆっくりは、朦朧とした意識の中 ひたすらに隣にいるゆっくりと頬を擦り合わせすっきりし続ける。 「ゆうううう・・・すっきり・・・しよう・・・ねえ・・・」 「すっきりー・・・」 「あああ・・・また・・・すっきりしちゃう・・・」 「まりさぁ・・・すっきり・・・しよう・・・」 「れいむは・・・れいむだよ・・・まりさじゃ・・・ない・・・」 「どうして・・・もう・・・すっきりしたくないのに・・・ゆっくりしたいよ・・・」 「すっきり・・・すっきり・・・すっきり・・・」 やがてゆっくりから蔓が延び小さな赤ゆっくりができると、 職員達が部屋の窓から網と高枝切り鋏を使って慎重に取り出す。 蔓がついたままの赤ゆっくりが運ばれる先は栽培室。 栽培室には赤ゆっくりが付いた蔓が並べられている。蔓の先には液体の入ったビーカー。 その様はまるで水耕栽培の様。蔓を伝って栄養と睡眠薬を吸収した赤ゆっくりは、 行進に耐える大きさに成長するまでこの部屋で眠り続ける。 「ゆっ!ゆっくりしていってね!」 「ゆっぴいいいいいいいい!!!!!」 数日たって十分に成長し、自身の重みで蔓から落ちた赤ゆっくりは、床に落ちた衝撃で目を覚ます。 そこへすかさず職員が針を使って痛みを与え、一瞬たりともゆっくりさせない。 痛みでわんわん泣く赤ゆっくりが次に運ばれて行くのは育児室。 育児室ではこの牧場内でのゆっくりの生活について教育される。 ゆっくりは人間に逆らってはいけない。 ゆっくりは常に歩き続けなければいけない。 ゆっくりはゆっくりしてはいけない。 赤ゆっくり達は職員の振るう鞭に追い立てられながら、この三点の命令を体に刻みこまれる。 スピーカーから大音量で流れ続けるこの命令を、鞭から逃げながら72時間聞き続けた赤ゆっくりは、 晴れて外で行進する仲間達に加えられ、泣きながら歩き続ける事になる。 「さあ、今日からは外でお前の仲間達と一緒に歩き続けるんだ!」 「止まるな!ゆっくりするな!止まったものには死あるのみ!」 「繁殖部屋送りになりたくなかったら歩き続けろ!」 (よるもゆっくりしないでね!) 夜。日は完全に落ち、ゆっくり達が行進するトラックには照明が点けられる。 辺りが真っ暗になってもゆっくり達は休めない。夜勤の職員達がゆっくりを追いたてる。 「ゆぅぅぅ・・・ねむいよぉぉぉ・・・」 「ゆっくりしたい・・・ゆっくりねたいよぅ・・・」 「ゆぅ・・・ゆぅ・・・」 「こらああああ!そこ!寝るんじゃない!」 「ゆぅぅぅぅぅぅ・・・」 もし眠ってしまったら、歩みを止めてしまったら、即座に繁殖部屋送り。 ゆっくり達は疲れた体に鞭打って、重い瞼と戦いながら歩き続ける。 そこへ一人の職員がタンクを背負ってやって来る。ただし中身は栄養剤では無い。 「ほら!お前らもっとシャキッとしろ!カラシ入りの水だ!これで目を覚ませ!」 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!!!!」 カラシ入りのシャワーを浴びたゆっくり達は悲鳴を上げる。 致死量では無いものの、ゆっくりにとって辛い刺激物は毒。体中に痛みが走る。 目を真っ赤に充血させ、舌をだしたゆっくり達は口々に職員に哀願する。 「いだいよおおおおおお!!!」 「おねがいじまず!ちゃんどあるぐがら、おみずぐださいいいいい!!!」 「ゆっぐりでぎないいいいいいい!!!」 「ようし!丁度いい感じに目が覚めたな!それじゃ、更に目を覚まさせてやる!」 「テンポアップだ!走れ!走れ!」 どん、どん、どん、どん。太鼓の音がペースアップする。それに合わせてゆっくり達が走り出す。 「走れ!走れ!遅れたものは繁殖部屋送りだぞ!」 「死にたくなかったらとっとと走れ!」 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!」 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「まだまだあああああああ!テンポアップだ!全力疾走!」 どどどどどど。太鼓の音が連打に変わる。ゆっくり達は体の痛みも忘れ、泣きながら走り続ける。 「ようし!いいぞ!走れ!走れ!」 「そのまま三周だ!全力で走れ!一番遅かったものはその場でぶっ殺す!」 「走れ!走れえええええええええええ!!!」 「い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」 「まだじにだぐないよおおおおお!!!」 「だれがだずげでえええええええ!!!」 ゆっくり達の長い夜はまだ続く・・・ (あめのひでもゆっくりあるいていってね!) 翌日は雨。ゆっくり達は体育館に入れられていた。しかし、当然ゆっくりできる訳では無い。 体育館の床は動く歩道の様になっていて、歩き続けないと壁に押しやられてしまう。 後ろの壁には無数の針。ゆっくり達は死に物狂いで泣きながら歩き続ける。 「ようし、注目!これから映画を見せるぞ!その前にお前達に確認する事がある!」 「おい、お前!お前だ!一番手前のゆっくり!きったねえリボンを付けたお前だ!名は!」 「ゆっ!れいむはきたなくないよ!きれいなゆっくりだよ!」 「なんだとっ!貴様!人間様の言った事に異を唱えるつもりか!」 「ゆゆっ!」 「こいつを連れて行け!繁殖部屋送りだ!」 「ゆううううう!ごめんなさいいいいいいい!」 「うるさいっ!もう遅いわっ!」 「いやあああああああああ!!!」 「おい!そこのお前!くっさい帽子を被ったお前だ!名は何だ!」 「ゆっ!まりさのなまえはまりさだよ!」 「ようし!ではまりさ!貴様らの種族は何だ!答えてみろ!」 「まりさたちはゆっくりだよ!」 「ゆっくりにとっての生きる意味とは何だ!」 「ゆっくりにいちばんだいじなのは、ゆっくりすることだよ!ゆっくりするのがいいゆっくりだよ!」 「ほう!ゆっくりするとはこういう事か!」 牧場長はプロジェクターのスイッチを入れ、スクリーンに映像を映す。映し出されたのは野生のゆっくり。 生まれたばかりの赤ゆっくりに、少し成長した子ゆっくり。れいむとまりさの若いつがい。 皮に張りの無い老いたゆっくりもいる。親子三世代のゆっくりの様だ。 スクリーンに映し出されるのは、ゆっくり家族の実にゆっくりとした生活の様子。 母に甘える子ゆっくり。姉に舐めてもらい、くすぐったそうに笑う赤ゆっくり。 子供達に歌を教える母ゆっくり。その様子を嬉しそうに眺める老ゆっくり。 食事の風景。ゆっくり家族が美味しそうに果物を食べている。 まだ小さい赤ゆっくりには母親が口移しで食べ物を与える。 食後の散歩。母親を先頭に、歌いながら野原を歩く子供達。 蝶やバッタを追いかけて走りまわり、遊びに疲れると老ゆっくりの周りに集まり昔話を聞く。 睡眠の時間。母親を中心に、子供達が体を寄せ合い眠りにつく。 母の温もりを感じながら夢の世界へ。まだ寝たくないと駄々をこねる子に子守唄を歌って聞かせる母。 何もかも自分達とは違う理想的なゆっくり生活。その映像を見たゆっくり達は歩きながら涙を流す。 どうして自分にはお母さんがいないのだろう。家族一緒にゆっくりしたい。 同じゆっくりなのに・・・どうして・・・どうして・・・ 「どうだ!これがお前達の言うゆっくりか!」 「ゆぅぅぅ・・・ゆえええええん!おかあさああああん!」 「まりさもゆっくりしたいよおおおおおおお!!!」 「お前達もゆっくりしたいか!」 「ゆうううう!!!ゆっくりしたいよおおおおおお!!!」 「ようし!ならば聞け!お前達にもゆっくりとした生活を与えてやる!」 「ゆゆっ!」 「ただし、今すぐじゃない!三ヶ月か、半年か、一年か!」 「この牧場で毎日ちゃんと歩き続けたもの、一時もゆっくりしなかったものは後でちゃんとゆっくりさせてやる!」 「ゆーーーーーーーーーっ!!!」 「どうだ!嬉しいか!ゆっくりしたいか!」 「ならば歩け!止まるな!ゆっくりするな!我々に逆らわず歩き続けたものだけゆっくりさせてやる!」 「歩け!止まるな!振り返るな!後れを取るな!列を乱すな!前に進め!」 「お前達はまだゆっくりじゃない。ただの糞饅頭だ!ボロボロの汚いクズだ!」 「ゆっくりになりたいか!ゆっくりしたいか!ゆっくりしたかったら我々に従え!」 「歩け!歩け!止まるな!決して止まるな!ゆっくりするな!」 地獄とも言える様な長くゆっくりできない生活を終えた牧場のゆっくり。 その最期に連れて行かれる先は加工室。そこで彼女達の一生は終わりを告げる。 そこでゆっくりと各種拷問を加えて殺され、生まれてから一切ゆっくりしなかったゆっくりの完成。 後は体を綺麗に拭いて髪型を整え、箱詰めすれば銘菓『泣きゆっくり』のできあがり。 どーん、どーん、どーん、どーん。人里離れた静かな山奥に、一際大きく響く太鼓と男の怒声。 ここはゆっくり牧場。食用のゆっくりを繁殖させる為の施設。 牧場主の「歩け!歩けーーー!」の号令の下、ゆっくり達がゆっくりと行進している。 ゆっくり達は在りもしないバラ色のゆっくり生活を夢見て、今日も泣きながらゆっくり歩き続ける。 end このSSに感想を付ける
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ゆっくり釣り ※へら鮒釣り行ってきて思い付いた 「はい、ありがとうございます。存分に楽しんできてください」 店番に金を渡し俺は中へ入る。 大抵釣りは外でやるものだがこの釣りは魚を釣るわけじゃあない。 ゆっくりを釣るのだ。 このゆっくり釣り、最近ちょっとしたブームになっている。 どでかいケースに悠々としているゆっくりを釣る、ただそれだけ。 俺が釣竿のセットをしていると、ゆっくり達が気づいたようで、 「おにいさん!ゆっくりしていってね!」 お決まりの言葉を発する。 更につられて他のゆっくりが煩くテンプレワードを発する。ああ煩い。 俺に挨拶を済ませ他のゆっくりと遊んでいる所で、全ての準備完了。 俺はちょっとしたお菓子をケースの中に放り込む。 「「「「ゆゆっ!?」」」」 ゆっくり達が我先にとお菓子目掛けてゆっくりと走る走る。 一匹が食べ終わると皆してこう言った。 「おにいさん!もっとちょうだい!」 これが俺の必勝法。 あとは釣り針を刺したお菓子を放り込むだけだ。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわぶぇっ!!!?」 一匹のれいむが幸せそうに食べているところを一気に引き上げる。 よし、一匹ゲット。型は小さいが順調順調。 「おにいさん!れいむのこどもかえして!」 涙目で俺に懇願してくるでかいれいむがいた。 どうやらこいつは子ゆっくりだったようだ。 「仕方ないなあ。このお菓子を食べれたら返してあげるよ。」 「ゆ!?おかし!??はやくちょうだい!」 子供はどうしたんだよ。 釣り針にお菓子をセットし、親れいむと正反対の方向に投げ入れる。 隣の人が睨む。あ、迷惑でしたか、すいません。 「そ"っち"し"ゃた"へ"れ"な"い"い"ぃ"!!」 そんなことを何回か楽しんでいた。 ピンポンパンポーン。 アナウンスが流れた。 『休憩タイムです。釣りをしている方はすぐに引き上げて下さい。30分の休憩に 入ります。』 店番が全員引いたことを確認すると、ボタンを押す。 すると、ケースの真上に黒い板がスライドされてくる。 休憩タイムとは、ゆっくり達を寝させる為の時間。 この黒い板で擬似的に夜を造り、ゆっくり達は眠りにつく。 眠ればそれまでのことなど忘れる餡子脳なので、「そんなものにれいむたちはつ られないよ!」なんてことはなくなる。 まあ休憩タイムなどなくても釣れるのだが、休憩タイムは釣り師同士での雑談話 にも使われているので有難い。 30分後、黒板が消えるとゆっくり達は目を覚ます。 「「「「ゆっくりしていってね!」」」」 「おお、ゆっくり釣ってやらあ。」 ゆっくり釣り 完 携帯からだから面倒で、少し短めなのもそのせいです。 とりあえずへら鮒釣り楽しかった。それだけ。 代表作 ゆっくり大福 ゆっくりとりひき1~3(以下続) このSSに感想を付ける
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その日は縁日だった、何気なく立ち寄ったゆっくり屋で、私は子ゆっくりを買うことにした 子ゆっくりはテニスボールくらいの大きさで、みんな元気に跳ね回っていた 私は隅っこにいた、ゆっくりれいむを一匹買うことにしたのだが 「いやだよ!まりさとはなれたくないよ!」 「そうだよ!まりさはれいむといっしょにいたいよ!」 などと、野良ゆっくりだった頃の友達だろうか?れいむを連れて行こうとする私にまりさが抗議をする 怒ったテキ屋の兄ちゃんが、ゆっくり棒で軽く殴るが連れて行かせまいと、れいむの前に立って体を膨らませて威嚇している ゆっくりの美しき友情に心底感動した私は、当初の予定を変更して、この仲の良いゆっくり達を全て買い取ることにした 「一匹飼うのも二匹飼うのもそう変わりません、仲の良い友達同士、離れ離れにするのは酷なことですからね、二匹とも買い取りましょう」 「そうか、いやぁ~すみませんね、お兄さん」 仲間と離れ離れにならず、みんなで一緒にいられると聞くとゆっくり達はとても喜んでくれた 「ゆゆ~!ありがとうおにーさん!」 「まりさたちをゆっくりかわいがってね!」 君達を可愛がる?そんな事をする気は毛頭無い こうして二匹のゆっくりを購入した後、途中で射的をしたり、綿飴やりんご飴を買ったりして家路についた 道中、ゆっくり達は歌を歌ったり、仲間と一緒にとび跳ねたりして楽しそうにしていた 見ていると本当に心がなごむ、愛らしい姿なんだろう、最も私には不快にしか映らないが お腹がすいたというので千切った綿飴を少しあげると、喜んで食べてくれた 「おにいさんはゆっくりできるひとだね!れいむとってもゆっくりできるよ!」 「おいしいおかしだね!とってもおいしいよ!」 普通のゆっくり達ならお菓子を奪い合ったり、喧嘩をするが、このゆっくり達は平等に綿飴を分け合って食べている ゆっくり達の顔はどれも名前の通り、安心しきった、ゆっくりとした表情をしていた あぁ、早くこの顔を絶望に歪ませたい 家に着くと、ゆっくり達はさそっくお家宣言を始めるゆっくり達 「おっきなおうちだね!れいむたちのゆっくりプレイスにするよ!」 「まりさたちにぴったりのおうちだね!」 家に入るとすぐに自分たちのお家宣言をする、これはゆっくりの悪い癖だ、このセリフのせいで虐待されたゆっくりはどれだけ居るのだろうか? ともかく玄関先で騒がれては近所迷惑になってしまう、私はゆっくり虐待用の部屋にゆっくり達を連れていき、籠から出してやる ゆっくり達は無邪気に飛び跳ねながら楽しそうにしている虐待し甲斐のあるゆっくり達だ 「おにいさん!おなかへったよ!」 「ごはんをもってきたらまりさたちのおうちでゆっくりしてもいいよ!」 何がおなか減っただ、身の程をわきまえないとひどい目にあうということを教え込んでやる 楽しそうに飛び跳ねているれいむの髪を掴んで、乱暴に持ち上げる 「いっ!いたいよおにいさんゆっくりおろしてね!」 痛みに顔をしかめながら、れいむは私をぷくーと膨れて睨みつけてくる お友達が痛い目に逢っているのを見るなり、まりさもぷくーと膨れて怒っている 「おにいさん!れいむのかみをつかむのやめてあげて!」 友達が痛い目にあうと、自分のことのように怒る、良い子だな本当に、だからこそ痛めつける 「ははは、すまないね僕は良いゆっくりにも、悪いゆっくりにもとても厳しいお兄さんなんだ 特にこのれいむは心の汚れた悪いゆっくりだから、特別痛めつけてやるんだよ」 私の滅茶苦茶な説明を聞くなり、れいむは涙声で反論する 「ひどいよ!ひどいよ!れいむはいいゆっくりだよ!」 うるさいゆっくりだ、お仕置きが必要だな、私は素早くポケットから縫い針を取り出すとれいむの後頭部に軽く突き刺す もちろん、これで殺すわけではないあくまで浅く突き刺す、しかしれいむにはとても痛かったようだ 「ゆ゛っ゛!いだぁい!」 れいむの声がうるさいので、泣きわめくれいむにゆっくり用の猿轡をつけると、加工所のベストセラー商品、透明な箱に入れる ちなみに、この透明な箱の底には薄く水が張っておいた、少しでもゆっくりに不快な気分になってもらうための一工夫だ 中でれいむはふごふご言っているが無視 まりさはれいむを傷つけた私に向って怒鳴り始めた 「ひどいよおにいさん!まりさたちのおうちからでていってね!」 馬鹿なゆっくりだな、ここは先祖代代受け継いできた家だ、貴様らの家だと笑わせるな 「ここが君のうち?馬鹿言わないでくれ、先祖代代受け継いできた家なんだぜ 君みたいな身の程知らずの馬鹿には死ぬまで苦しんでもらうよ」 私はまりさの帽子を取り上げると、まりさの頭を針で何度も突き刺す 「ゆゆっ!いだいおにーさんやめて!やめて!」 まりさは針から逃げようと右往左往逃げ回る、愉快な奴だ 軽く蹴り飛ばすと「グッびゅ!」と鳴きながら転がっていく 箱の中でれいむがまたふごふご言いだした、大事なお友達が痛めつけられるのをよく見とけ、ボケが 痛みで動けないまりさをれいむと同じ様に、透明な箱に入れる そして、箱の中に河童印の唐辛子スプレーを吹きかける 「ゆぎゅっ゛つ゛!い゛だぁ!」 体中に焼けるような痛みを感じて、鼻水と涙を流しながらまりさは悶え苦しむまりさ 苦し紛れに飛び跳ねているから、透明な箱中に鼻水や涙が飛び散っている、汚いゆっくりだ さて、少し運動もしたし腹が減った夕食にでもしよう 私は虐待部屋から出るとすぐ、食事を始めた 炊き立てのご飯に昨日のカレーの残りと温泉卵を乗っける、独り身だと夕食なんたこんなもんだ 食べ終わるとすぐに私はゆっくり虐待部屋に向かう 食事の間中も頭の中はゆっくりを痛めつけることで一杯だった、こんな私は巷で話題のゆっくり虐待脳なのだろうか? 私は虐待部屋に戻ると、透明な箱に入っていたれいむとまりさを乱暴に引きづり出した れいむは箱から出るなり私に体当たりをしようとする、しかし、長い間底部が水に浸かっていたせいか、ふやけてうまく跳ねれない かといって、罵詈雑言を吐こうにも猿轡を噛んでいてはそれも叶わない、結局膨らむだけにしたようだ 一方まりさはさっきのスプレーでのどを痛めたのか、しきりに咳をしている ざまぁみろゴミ虫め 「君達も疲れているだろう、このダンボールの中で寝なさい」 出来るだけ優しく言ってやったが 「ん~!んんむんむ~!」 「おにいさんのいうことなんかきかないよ!とっとときえてね!」 だそうだ、人の好意も素直に受け取れない糞ゆっくりは…こうだ! 二匹の髪を掴むと、ダンボールの中に手加減して叩きつける 「ゆ゛っ!ひどいよおにーさん!」 「ん゛ん゛んぅ!ん゛~む゛ぅん!」 「ゆっくりできてないよ!れいむだいじょうぶ!れいむ!」 まりさは体が少しへこむ程度で済んだが、れいむは違った 水を吸ってふやけていた底部が破けて、餡子が滲み出できている 痛みに身をよじって体を揺らしている、おおきもい、きもい こんなに痛がるなら猿轡を外してからやればよかった、そうすればれいむの苦しむ声をたっぷり聴くことができたのに 少し軽はずみな行為をしてしまった事を恥じながら、れいむの猿轡を外す 「ゆ゛ぅえ゛っぐ…ひ゛っぐれ~むのあしが!」 「おちついて!ゆっくりなおるからおちついてね!」 「ゆっぐ…ひっ…ぐ…ゆっゆ」 「おちついて!だいじょうぶだよれいむ!」 ゆっくりにとっての足の部分が破けたショックで、過呼吸気味のれいむを落ち着かせようと、まりさが頬擦りを始めた 頬擦りはゆっくり達の友愛の証でこれをする方もされる方もゆっくりできるらしい しかし、私に貴様らをゆっくりさせる気は全く無い ゆっくり共の入ったダンボールを持ち上げると、上下左右に素早く小刻みに揺らす 中のゆっくり達はピンポン玉のように、あっちに飛んだりこっちに飛んだりして、ダンボールにぶつかる度に悲鳴を上げているいる これなら、ゆっくりピンボールとか作ったら売れそうだな 「じしんだよ!こわいよいやだよ!」 「いだいよ!いだっひぅあしがいっだいよぉ!」 まりさは地震と勘違いしてしまったようだ、眼を固くつぶって震えながら転がっている、馬鹿な奴だな れいむの方は揺れて転がることで傷口がどんどん広がっている、漏れ出す餡子の量も多くなってきている ここで殺すのもありだが、もう少し生かしてやることにした ダンボールから二匹を出すと、まりさが私に泣きついてきた 「おにーさん!このままじゃれいむがしんじゃうよ!いままでのことゆるしてあげるかられいむをなおして!」 「まりさだけでもにげて!このままじゃまりさがゆっくりできなくなるよ!」 「れいむはだまっててね!まりさはれいむといっしょじゃなきゃゆっくりできないよ!」 この言葉には普通の人なら感動するだろうが、私には骨の髄までゆっくり虐待の血が流れている どんな感動的なことをしたとしても、それがゆっくりなら虐待するまでだ 「なるほど、まりさはれいむのことを治してあげたいんだね?」 「そうだよ!ゆっくりしないでれいむをなおしてね!」 「しょうがないな、私なりのやり方で治してあげるよ!」 私は素早くれいむを仰向けにすると、濡れてふやけた底部の皮をむりやり剥ぎ取る 「ゆっ!いだい!いだぁい!いだい!」 「れ…れいむになにするのー!しね!しね!」 まりさは顔を真っ赤にして私に突撃してくる、それこそ私を殺すつもりの体当たりだったのだろう しかし、しょせんはゆっくり、痛くもかゆくもない、むしろぷにっとして気持ちいい だが、ゆっくり風情が人間様に楯突くとはどういうつもりだ 私は力の差を教えるためにも、まりさを捕まえると、右目の部分に噛み付き、引きちぎった 口の中が程よい甘さでいっぱいになる、しかし私は辛党だ、ゆっくりなど食べても不快な気分にしかならない 嫌々、何度か咀嚼してすぐに吐き捨てる、左目は縫い針で何度も突く、突き刺すたびに目からは餡子とは違った、透明な液が噴出する 言葉にならない叫びを発するまりさを思い切り殴りつける、後頭部がへこんで口からボトボトと餡子をおう吐し始めた ふぅ…すっきりした、たまにはこんな風にワイルドに痛めつけるのも悪くない 第一、れいむに関しては本当に直してやるつもりだったんだ、それを死ね、などと言われたら少しくらい怒ってもしかたないではないか 「こないでぇ!いじめるのはまりさにして!こないで!」 「ぎぃ!う!うっぷうっ…おぇ~」 さて、れいむはというと、さっきまりさにやった折檻がよほど恐ろしかったようだ 足のない身で、必死に私から離れようとしている まりさの方は、噛みちぎられた右目のあった場所と口から、命の源の餡子を垂れ流している 左目はどんより濁って、なにも映してはいないようだ しかし、れいむの「いじめるならまりさにして」発言は良く聞こえたようだ 「びどぉい!でいむびどいよ!」 と、餡子を口から飛ばしながら叫んでいる、それから一分とかからずまりさは息を引き取った まりさが死んだことを確認すると、私はまりさの底部をれいむのように剥ぎ取った 私は、逃げようとするれいむに近付くと、出来るだけ穏やかな表情を作って話しかける 「れいむ、今から私は君の体の治療をする、痛くするつもりは毛頭無い けど、もし逃げようとしたり、泣いたり、私を不快にするようなことをしたら、ただではすまないよ」 「わわかったよ!にげないしなかないよ!」 それなら良い、私はまりさから剥ぎ取った底部をれいむの底部に張り付ける、ぴったりとはいかなかったが ゆっくりは単純でいい加減な生物だ、すぐに癒着するだろう 「これで大丈夫、しばらく動かなければきちんと歩けるようになるよ」 「ゆっ!それじゃあうごかなふぎゅ!」 すかさずれいむを踏みつける 「何かしてもらったら、普通はありがとうございましたって言わないかな?」 「ゆぐ…ありぎゃとうごじゃいまちた!」 痛みに耐えてれいむはお礼を言った、この男に逆らえば絶対にゆっくりできない、というのがゆっくりブレインにもよく分かった それからしばらくすると、れいむの皮とまりさの皮はきっちり癒着して、普通の状態に戻っていた 「良し、治ったね、それじゃあちょっとジャンプしてくれ」 「ゆっ!わかったよ!ぽよーん!」 なるほど、きちんと癒着しているようだジャンプ力も問題ない れいむが不快な擬音を口にして飛び上った瞬間、私はれいむの底部をけり上げた 「ゆぎゅ!」 移植したばかりだった、れいむの底部は簡単に破れた 痛みに悶絶するれいむを無視して、まりさの死骸から口を削ぎ落とす そして底部の破れた場所に、無理やり押しあてる 「ぎゅぅ!!!いふぁい!いだいぢだい!」 「黙れ、殺されたいか」 「ぎゅ!っつ…ん…む」 私のことを本当に恐れているのだろう、れいむはすぐに静かになった それから五分後、れいむは底部に口を持つ、世にも珍しい二つの口を持つゆっくりになっていた その結果に満足した私は、れいむを小さな透明な箱に入れると、今日一日の疲れを癒すべく寝室に向かった 一方れいむは、男への怒りで体中が爆発しそうだった 透明な箱はれいむのサイズより一回り小さかったが、男に無理やり押し込められた、身動き一つ取れない なんで可愛いれいむがこんな目に会わなきゃいけないの? 腹立たしげにれいむは呟いた 「「ゆっくりできないよ!」」 れいむは驚愕した、自分の体から死んだはずのまりさの声がしたのだ 「「まっまりさ!いきてたの?」」 しかも、不気味な事に自分の言うことを真似してくる これは、まりさの霊がれいむを祟りに来たんではないか そう思うと、体中から冷や汗が出てくる 「「れっれいむはわるくないよ!」」 「「しんでるくせにふざけないでね!」」 「「まねしないでよ!」」 「「ねぇ!やめてよ!」」 「「れいむはわるくない!ほんとだよ!」」 「「おねがいだから!まねしないでね!」」 「「やめてやめてれいむはわるくないよ!」」 れいむは朝まで自分の発した声に怯えていた 私は朝起きると、朝食をしっかり取ってから虐待部屋に直行した 中ではれいむが何やらぶつぶつ言っている、そして同時に死んだはずのまりさの声も聞こえてくる、どうやら成功したようだ 「おはようれいむ、昨日はよく眠れたかい?」 「「おにーさん!たすけて!まりさがどこかにいるよ!れーむのまねをするよ!」」 私は塩水をたっぷりれいむにかけてやった 「「ぎゅぅ!からいよ!くるしいよ!」」 「朝のあいさつはおはようございますだろ、言ってみなさい」 「「おはようございます!」」 「よろしい」 れいむは辛い辛いと騒いでいたが、いきなり真っ青になって私に体の異変を訴えてきた 「「ゆ゛っ!へんだよ!すっごくへんだよ!」」 「何が変なんだい、言ってごらん、れいむ」 「「れいむのあしがあじがわかるんだよ!へんだよ!おかしいよ!」」 私は苦笑してれいむの疑問に答えてやった 「それはね、君にまりさの口を移植してやったからさ、君の足にはまりさの口があるんだよ」 「「そそんなはずないよ!いやだよおくちはひとつでいいよ!」」 真実を教えてやったのに、そこまで言うなら仕方ない、れいむを透明な箱から取り出すと床に落とす ゆっくりの底部は頑丈で弾力がある、普通のゆっくりならこれ位痛くもかゆくもない しかし、れいむは違った 「「いだぁい!いだぁいよなんで!」」 れいむの底部には、まりさの口が付いていた ゆっくりの口はそう頑丈じゃない、裏返してみると何本か歯がへし折れていた 騒ぐれいむを無視して、私は一メートル四方の超巨大透明な箱を持ち出す 中にたっぷり塩を入れると、その中にれいむを放り込む れいむは底部を塩の床につけるなり、辛い辛いと騒ぎだした 騒げば騒ぐほど、底部の口から塩がれいむの体内に入っていく あと数分もすれば、このれいむは大嫌いな塩でお腹いっぱいになれるだろう 「ゆっくり味わって食べなよれいむ、塩はたくさんあるんだから」 「「いや!たすけて!ゆっくりできないよ!からいよ!くるしいよ!たすけて!」」 二つの声で何かに助けを求めるれいむ ゆっくりにとって、塩は大量に摂取すれば死の危険性もある食糧だ、帰ってくる頃には苦悶の表情で死んでいるだろう 朝から愉快なものが見れた私は、虐待部屋から出た後すぐにゆっくり加工所に向かった そう、私はゆっくり加工所で働いているのだ、家に帰っても虐待、職場でも虐待 私はこの世で最も幸せな男なのではないだろうか、といつも思う 自分の本当に好きなことを職業にできたのだから 作:ゆっくりな人 以前書いた虐待 ゆっくりカーニバル 臭い付きゆっくり(上) 臭い付きゆっくり(下) このSSに感想を付ける
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虐待スレ17の771 んじゃ余計な前置きいらないから、出会ったゆっくりを人間が次々と踏みつぶして駆除していくSSきぼん という天の声を聞いて勢いで書いてみた。 私は野生のゆっくり駆除のために村で雇われたお兄さんだ。 今日も駆除のために鉄底のついた丈夫な革靴を履き 杖とミスドのドーナッツが10個入った紙袋とゴミ袋を持って森に出掛ける。 ドーナッツを食べ尽くさないようにチビチビ食べながら森を歩いていると 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 「はいはい。ゆっくりゆっくり」 親れいむと子れいむ4匹の家族のようだ。 私が食べてるものが気になるのか警戒することなく近づいてくる。 すかさず私は親れいむを踏みつける。 「ぶぎゃ!?」 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛!」 「おがあざあああああんんん!」 「なんでえ゛え゛え゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ!」 「やべでぇぇぇっ!! 」 「なにじでるのおぉぉぉっ!!?? 」 うるさい事を言ってくるが気にせず 子れいむを踏みつけていく。 「もっどゆ゛っぐく゛り゛じだがっだよ゛お゛ぉぉぉ!!」 「ゆるじでえぇぇ!!」 「やだああぁぁ!」 ちっ、2匹の子れいむは踏める範囲から逃げていた。 そこで杖を使い、子れいむを叩く。 「いだいいぃぃ!」 「ゆっぐり゛じだげっががごれだよおおお!!!」 ゆっくり達の断末魔を後にして、また森の散策を始める。 しばらくするとゆっくり達の悲鳴が聞こえてきた。 私と同じことをしている人がいるのかなと見に行ってみると そこには、ゆっくりれいむとゆっくりまりさがゆっくりアリス2匹に襲われていた。 「ぎもちいいよおおお、そろそろすっきりしようねえええええ!」 「ハァハァ!れいむのりぼん、かあいいいよおお!」 「やめでえええええ!!!」 「ずっぎりじだくないいいいい!!」 ヤレヤレと思いつつ、4匹のゆっくりに近づいていく。 ゆっくりアリス達は行為に夢中なのかこちらに気付かなかったが ゆっくりれいむとゆっくりまりさはこちらに気付いたようだ。 「おにいさあああん、だずげでええええ!」 「じにだぐないいい!!!」 助けを求められたならば助けてあげねばなるまい。 大きく踏み出し、ゆっくりまりさを踏みつけ、ゆっくりれいむを杖で思い切り叩く。 「ぐるじいよおおおおおお!!」 「おにいさん、ひどいことしないでええええ!!」 「その苦痛から助けてあげたんだよ」 ゆれいむとゆまりさが潰されたにも関わらず、まだこちらに気付かないゆっくりアリス達。 ほんと性欲魔人だな。 「まりさ!まりさぁぁぁっぁさぶっ!!??」 「すっきりさせぇぇぇぇぇえぐっ!!?」 見ているのも嫌になったので、すぐに踏んで静かにしてあげた。 やっぱ森は静かなのほうが良いよね。 そしてまたドーナッツを食べながら、散策を再開した。 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 1時間ほど歩いているとまた声をかけられた。 振り向いてみるとそこには6匹のゆっくりまりさ一家がいた。 警戒しているのかこちらに近づいてこようとはしない。 だが、逃げようともしない。私が持っているドーナッツが気になっているようだ。 「はいはい、ゆっくりしていってね」 「ここでゆっくりしたいならごはんちょうだいね!」 「おにいさん、おいしいものゆっくりたべさせてね!」 「たべたい!たべたい!」 「たくさんあるから良いよ」 と言って近づこうとすると 近づいた分、後ろに下がるゆっくりまりさ達。 「ん?欲しいんじゃなかったの?」 「それをこっちになげてね!」 「ゆっくりなげてね!!」 「にんげんはこわいからあまりちかづかないでね!」 なるほど。ドーナッツは気になるが警戒心が強いため人間に近づかれるのはイヤなようだ。 だったら人間に近づくなと思うが、警戒心より食欲のほうが強いのだろう。 もっとも私はそんな警戒心のあるゆっくりのためのドーナッツも持ってきている。 箱の隅に置いておいた痺れ薬入りドーナッツを2個手に取り、人数分に千切ってからゆっくり達に投げてやる。 「ほら、みんなでお食べ」 「おにいさん、ありがとおおお!」 「うっめ!めっちゃうっめ!!」 「むーしゃ!むーしゃ!しあわせー!」 「とろーりあまーい!!!」 その様子を眺めていると、薬の効果が効いてきたのか 「ゆっ!ゆっ!からだがしびれてきたよ!!」 「からだがうまくうごかないよ!!」 「なんでええええええ!!!」 薬が効いてきたことを確認すると、ゆっくり達に近づいていく。 「ゆっ!おにいさん、こっちにこないでね!」 「ゆっくりどっかにいってね!」 「まりさたちはここでやすんでいくから、おにいさんはおうちにかえってね!」 そんな声を無視して、近づいてにっこりと笑いながら告げてあげた。 「ゆっくり死んでね」 最初の1匹目はゆっくりまりさ一家に恐怖してもらうために一撃で潰してあげた。 親まりさは声がうるさいので舌と下顎を思い切り踏みつけ喋れないようにした。 残りの子まりさ達は加減をして何度も踏みつけ、徐々に踏み力を強くする。 「ゆー、やめでえええ!」 「な゛に゛す゛る゛の゛お゛お゛お!」 「なんでこんなひどいことするのおおお!」 「じにだぐないいい!!!」 「おかあさん、だずげでえええ!!」 ゆっくり達の絶叫を聞きながら 丹念にそしてすぐには死なないように叩いたり踏んたりしていく。 だが、そんな楽しい状況も長く続かず10分もすると子まりさ達は全員死んでしまった。 「ゅ!ゅ!ゅ!」 親まりさは、舌と下顎を潰されたため、声を上げることも逃げることも出来ず 滂沱の涙を流しながら子まりさが死んでいくところをずっと見ていた。 どれくらい餡子が美味しくなったかなと頬を千切り、中の餡子を食べてみる。 親まりさは体の内部を弄くられて狂ったような体を震わせる。 「う~ん。けっこうなお味で」 「ゅーゅーゅー」 なかなかの美味だったので、ドーナッツの紙袋の中に親まりさの餡子を1/4ほど入れ持って帰ることにし 「あとは森の生物にゆっくり食べられてね」 とだけ言い残し、日も傾きかけてきたので帰ることにした。 親まりさは泣きながらこちらに何か言おうとしているが喋ることが出来ず唸っていた。 意識を残したまま放置され、森の虫たちにゆっくり食べられ苦しみながら死んでいくことだろう。 私はゆっくりまりさが嫌いなのだ。 帰る途中でまたゆっくりれいむ一家に出くわした。 美味しいものを持っていると匂いに釣られてゆっくり達が寄ってくるから笑いが止まらない。 「これをあげるよ」 と言って、使わなかった残りのしびれ薬入りドーナッツを投げてやると 一目散に落ちたドーナッツに駆け寄るゆっくりれいむ達。 生存本能より食欲のほうが勝ってるってのは生物としてどうなんだろうなと思いつつ 動けなくなったゆっくりれいむ一家を用意したゴミ袋に詰めていく。 「さて、家に戻ってこいつらをどうやって料理するかな」 fin このSSに感想を付ける
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ゆっくり虐めもの 水虫 「「「ゆっくりしていってね!」」」 「おぉう?なんだゆっくりか。」 男が仕事から帰ってくると無人のはずの我が家で何故か出迎えを受けた。 どうやら野良ゆっくりの一家が入り込んで来たらしい、本来の家主のことなど知ってか知らずか我が物顔で振舞っている。 「ここはまりさたちのおうちだよ! おじさんはゆっくりしないで でていってね!」 「そうだよ! ここでゆっくりしたければ ごはんをよういしてね!」 ゆーゆーゆーゆー・・・ 次から次へと自分勝手な主張を述べるゆっくり達、普通なら泣き叫ぶまで虐待されてもおかしくないのだが 「あー、それはすまんかったな。ちょっと片したらすぐ出てくから、ゆっくり待っててくれ。」 「ゆゆゆ? それならゆっくりまつからゆっくりしていってね!」 実はこの場所、家といっても居住区間ではなく、農具を収納したり汚れ作業を行うような土間作りの納屋であった。 寝食を行う家屋とも隣接しているのだが、そこへの通路は段差と戸により区切られておりゆっくりでは侵入できない。 食い散らかされる食料は置いてなかったし、農具などもゆっくりにどうこう出来るほど重量の軽いものではなかった。 そして幸いにも、この男にはゆっくりを痛めつけるような趣味がなく、それどころか軒先を饅頭に貸すほどに心の広い人物であった。 男は怒ることもせず、ただ一言ゆっくりに詫びると淡々と部屋の隅に積まれている荷物を弄り始めた。 一方のゆっくり達は、ここが人間の住居であると理解した上での確信犯であった。 そのため男が帰ってきたときとっさに強がってハッタリをかましたものの、内心は戦々恐々であった。 ところが男は一家を咎める事もなく、ここから出て行ってくれると言うではないか。 そこで下手に機嫌を損ねるのも損と考え、(ゆっくり的に)丁寧な対応で男の挙動を見守ることにしたのだ。 しかし、数分過ぎたころ 「ゆうぅぅ、おじさんまだー?」 「悪いなぁ、もうちっとだから待っててくれよー。」 「しかたないね! とろいおじさんはさっさとしてね!」 男が下手に出ているところから、一家は彼を自分達より下と判断した。 結果、態度は次第に悪化して行き悪態を突きながらプンプンと膨らみ始める始末である。 そしてもう10分も過ぎて 「いやー、やっと終わったよ。待たせてごめんよ。もうおじさんは出て行くからね。」 「おじさんゆっくりしすぎだよ!こんどゆっくりしたいならたべものよういしてきてよね!」 やっと終わったか、こんなに待たせるなんて図々しい人間だ。おまけにまりさ達のおうちにガラクタなんか置いて。 一家はそんなことを思いながらも、ようやく男が出て行くと言い出したためホッと一息ついた。 だが次の瞬間 「はぁー、どっこいしょっと・・・。」 男は地面に腰を下ろし、おもむろに履物を脱ぐと底についた泥を落とし始めた。 「ゆぐぅ!? まりさたちのおうちをよごさないでね!!」 「れいぎしらずなじじいはいたいめにあってね!!」 ついに痺れを切らした親ゆっくり達が男めがけて飛び掛ったのだ。 しかし、いざ男に近づいたところで 「「ゆっがあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」」 「「「どうじだの!? おぎゃあしゃぁん!!」」」 「「ぐ・・・ぐぅぢゃい”いぃぃぃぃぃ!!!」」 男は無類の油足だったのだ! おまけに今はたっぷり外で汗を流し帰って来た所、履物も脱ぎたてのホヤホヤである。 拘束する物を失ったその足から、ようやく自由になれたと言わんばかりに臭気が立ち昇った。 「ははは!酷いなぁ、そんなに臭いかい?」 「「「ゆべえぇぇぇぇ!? こっぢごないでえぇぇぇ!!」」」 ほーれほーれと男は足を一家へと近づける。饅頭一家はその臭いに毒され今にも吐かん勢いである。 「おれ~の足は~いい臭い~♪びっくりするほどフローラルゥ~♪」 「「「や”っ!や”べでええぇぇぇぇぇぇぇ!!!」」」 乗ってきた男はゆっくり達にその足ですーりすーり♪をしはじめた。 「す~り~す~り~ごくらく~♪」 「ゆぎゃあぁぁぁぁ!! くちゃいいぃぃぃぃ!!」 「ゆうぅ!? にゃんだかべちゃべちゃでにゅるにゅるしゅりゅうううぅぅぅ!!!」 ゆっくりできない!! 一家はそういい残し、スゴイ勢いで外へと飛び出していった。 後には、やりすぎたか?と一人笑う男だけが残された。 数時間後 「ゆうぅ・・・やっぱりにんげんはゆっくりできないよ・・・」 「おかーしゃん、まりちゃたちまだくちゃいよぉ・・・」 「ゆっくりがまんしてね、おかあさんたちもがまんしてるからね」 森の中にはすっかり意気消沈した一家の姿があった。 男の家から脱出したものの、未だに体についた油がとれずゆっくりと臭っているのだ。 「あ、まりさ!ゆっくりしtみょぎゃあぁぁあっぁぁ!!?」 「ゆっぐりごっちごないでえぇぇぇぇぇ!!!」 「あっちのほうでゆっくりしていってね!こっちにはこないでね!?」 すれ違う群れのゆっくり達にも避けられる始末、べっとりした結果がこれだよ!! 3日後 「くんくん・・ゆ! もうだいじょうぶだよ!!」 「くさくなくなったまりさたちはいっしょにゆっくりしようね!!」 「「「ゆっくりしていってね!!」」」 あれから3日過ぎた頃、ようやく臭いも薄らぎ、群れのゆっくり達にも無事受け入れられたのだ。 悪夢のような日々からようやく開放された一家、まさにこの世の春と言わんばかりの有頂天ぶりであった。 ところが・・・ 「ゆ・・・?なんだか からだかゆいよ! れいむ、ゆっくりかいてね!!」 「ゆっくりわかったよ! ポーリ、ポーリ・・・」 「しあわせぇ~♪」 この頃から突如として一家の体が痒みに襲われるようになってしまったのだ。 更に1週間後 「ゆうぅぅぅ・・・かゆいぃぃ・・・」 「ゆ!・・・ゆ!・・・とどかないぃぃぃぃ!!!」 痒みに襲われる奇病は群れ全体にまで広まっていた。 皆が皆、体が痒いと呻き声をあげ、そこらかしこからポーリポーリという声が聞こえる。 更にもう1週間 「ひは・・・!ひは・・・!もうがまんできないいぃぃぃぃ!!!!!」 「ゆっくりがまんしてね!! ぽーりぽーりするとゆっくりできなくなるよ!!」 「もういいぃぃぃ!!! ゆっぐりなんがいらな”い”いいいぃぃ!!!」 ゴリリリリリリリリr・・・!! 激しく体を木に擦り付けはじめるれいむ、その目は血走り焦点も合っていない。 「ぼぉり”ぃぼぉり”ぃぃぃじあ”わ”!!??」 そこまで言ってれいむの体は崩れ落ちた。 その死に顔は後一歩で手が届かなかったような、なんとも悔しいようなじれったいような顔であった。 数週前、突如このゆっくりの群れに発生した体が痒くなる奇病。 始めの頃は痒みも大したことが無く、他のゆっくりに掻いてもらえば治まる程度のものであった。 だが時間が立つにつれ痒みは次第に酷くなってゆき、そして更に悪化がすすむと・・・ 「ポーリポー『グヂィ』ゆ?」 「ゆぎゃあぁぁぁ!!? れいむのきれいなおがおがあぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」 「どうなっでるのおおぉぉぉぉ!!?」 患部を掻いているとそこが崩れ落ちるゆっくりが出始めたのだ。 そこでこれ以上被害を出さぬため、群れのリーダーはポーリポーリを禁止した。 だが痒みに耐え切れず体を掻き毟る者は後を絶たなかった。 それどころか体が崩れ落ちるに留まらず、ついには命までをも落とす者まで現れた。 また、痒みに負けず己を自制することに成功したゆっくりでも次々と押し寄せる痒みの波に耐えかねて発狂してしまったり、 心は無事でも次第に患部が水気を帯びてきて、まるで川に落ちたようにグジュグジュに爛れたりと散々であった。 中でも特に悲惨だったのがゆっくりありす種だろう。 ありす種の命ともいえるぺにぺにが痒みを帯びたと思うと、ある日急にポロっと落ちてしまうのだ。 最愛のぺにぺにの突然の別離は想像を絶する悲しみらしく、ポロったありすは1晩泣き明かし翌朝脱水により命をおとした。 また、これが引き金で二次災害、恐怖したありす種による大規模な集団レイプが発生した。 どうせ朽ちるなら最後にスッキリしようということか、タガのはずれたアリス達は止まらなかった。 しかし、それすらも叶わぬのか 「ゆうううう!!まりざあああああっあっあっもういぐよおおおおおお!!!」 「やだあああぁぁぁぁぁぁ!!! ずっぎりじだぐな”いいいぃぃぃぃぃ」 「んほおおおおおおお!!!! ずっぎrぎゃあああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!???」 病気に侵された体が耐えられず、もう一歩と言うところでぺにぺにがもげてしまうのだ。 寸止めのありすも堪らないが、もっと堪らないのは襲われていたほうである。 「ゆがああぁぁぁぁぁぁ!!! まりざのまむまむがらでてってえええぇぇぇぇぇ!!!」 もげたぺにぺにが、まむまむの中に残ってしまうのだ。 さっきまで無理矢理犯してきた憎い相手の、しかも病気でグジュグジュンのそれが体内に入りっぱなし。 しかも水気が多く癒着してしまい自力で排出できない上、これがある限り他のゆっくりともスッキリ出来ない。 極めつけは、これが原因で本来なら外皮で留まっている痒みがまむまむでも発生し、内側からも病触されていくのだ。 不幸にもこのまりさは死ぬまで逃れられない、耐え難い嫌悪と痒み襲われることになってしまった。 さて、この木の根元に開いた穴 ここには数週前に人間の家に侵入し、臭い思いをしたまりさ一家が住んでいる。 いや、正確にはまりさ一家だったものと言うべきか。いまやこの家の主は 「・・・・・げひょっ・・・・・ゆびょっ・・・・・」 この時折奇妙な声をあげる、腐った巨大饅頭のような物体である。 時折呻きをあげ、鈍く震えているところから恐らく生きているであろうことが伺える。 この群れを襲う病気の正体は、この一家が持ち込んだ水虫菌であった。 以前、油足の男に触れられた際に感染してしまったのだ。男は油足と水虫の二冠王だったのだ。 そして、手足を持たないゆっくりは体を擦り合わせるようにして痒みをとる。 これが災いして群れ中に水虫菌が広まってしまったのだ。 しかし、この一家の現状は水虫による病状とは思えない、一体何があったのだろうか? 数日前 「かゆいよぉ・・・」 「ゆっくりがまんしてね、ぽーりぽーりはゆっくりできなくなるよ!」 リーダーのお達しがあった後、この一家も体を掻くことを我慢しゆっくりと耐えていた。 しかし、幼い子ゆっくりの我慢は限界に達しようとしていた。そんな時 「ゆゆ!いいことおもいついたよ! みんなこっちにゆっくりあつまってね!!」 何かを思いついたのか、親まりさが一家を集め始めたのだ、そうして 「これならかゆかゆにならないよ!ゆっくりできるね!!」 「ゆゆ!おかーしゃんしゅごい! これでゆっきゅりできりゅよ!」 部屋の隅で小さく固まり、互いに痒い部位を押し付けあったのだ。 こうすることにより痒みが抑えられ、また体が崩れ落ちるのを防ぐことが出来る。 こうして一家は久々の熟睡を得ることが出来た。 翌朝 「「「どうなっでる”の”おおおおおおおおおお!!!」」」 巣に響く一家の悲鳴、そこには体の癒着した複数の饅頭が涙を流すと言うトラウマものの光景があった。 何と寝ている間に互いの体から伸びだした菌糸がさながら鎹のようにゆっくり達を繋いでしまったのだ。 動くことも出来ず、また群れのゆっくりにも助けるほどの余裕がある訳もなく、こうして一家は次第に1つになっていった。 そうして今 「・・・・・ぼあ・・・・・ぼお・・・・・べべ・・・・・」 グヂョリグヂョリと粘っこい音を立てる物体に成り下がった。 髪飾りにより辛うじてゆっくりだった名残を感じることが出来ているが、もうしばらくすればこれらも分解されるだろう。 時折この物体は奇妙な音を立てるのだが、それは酷く悲しげなものであった。 「あぁー・・・かいかい」 この時期は蒸れて敵わん、そういって足を掻く男は今日も平和だった。 終われ ※こっから蛇足 「こ、こいつは一体・・・!!」 「おい!! 気をつけろよ、毒があるかもしれんぞ!!」 そう男達が叫ぶのは森の中に生えたとある一本の木の前。 この木の根元に開いた穴、そこで何とも奇妙な物体を発見したのだ。 グチョリグチョリと湿った音を立てるそれは、まるで巨大な粘菌、あるいはスライムと言う風貌をしていた。 森でゆっくりを見ない、何かしら好からぬことを企んでいるのかもしれない。 近頃村ではそんな噂が流れていた。恐らくは杞憂であるだろうが万が一という事もあるやもしれない。 そういう訳で、手の開いている村人達で山狩りを行ったところ、本当にゆっくりが1匹も見つからない。 以前大きな群れが住み着いていたらしいゆっくりスポットを捜索してもである。 これは本当に異変か?そう考えている折りにそれは見つかった。 初めは妖怪の類かと警戒したものの、動くそぶりを見せぬことからそうではないとわかった。 消えたゆっくりと関係があるのだろうか?男達は永遠亭に鑑定を依頼し、やってきた兎達にそれは回収されていった。 後日、加工場から永遠亭と共同開発した「溶かして殺す、ゆっくり粘殺剤!」が発売された。 まじで終われ 作者・ムクドリ( ゚д゚ )の人 今までに書いちゃったの ゆっくりディグダグ ゆっくりディグダグⅡ みかん キャベツ 和三盆 みかん修正版(温州蜜柑) このSSに感想を付ける
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ニコニコ動画まとめwiki ニコニコ動画について色々と詳しく書かれています ニコニコ大百科 にはない(というか作れそうにない)記事もあります PukiWiki を使っています おすすめページ 初心者向けQ&A ニコニコ動画初心者の方向けのQ A 視聴に便利なツールやサイト 視聴に便利なツールやサイトがいっぱい載ってます ※ニコニコ動画へのツール経由のアクセスは原則として禁止です(開発者ブログより)。
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ある日ゆっくり達は突然幻想郷の外へ飛ばされた ゆっくり達がたどりついた世界は全く異質の世界だった あるゆっくりは森の中にいた うっそうと生い茂る草木の中には見たことのない花や果実があった のんびりしていると近くに服を着て人の言葉をしゃべる猫があらわれた ゆっくりは言った 「ゆっくりしていってね!」 するとその猫は不思議そうな目でゆっくりを見つめていた しばらく考えていたが猫はゆっくりを持ち上げどこかへ連れて行こうとした 猫は何かをブツブツ言っていたがゆっくりが理解することは無かった しばらく猫はゆっくりを持ったままどこかへ向かっていたが、猫の腹がグゥと空腹の音を鳴らした 猫は今自分が持っているものの臭いを嗅いだ 甘くていい臭いだった 「ゆ!れいむをたべないでね!!!」 ゆっくりはそういったが猫には通じず、大きな口に放り投げられた 猫はそのゆっくりの味に舌鼓を打った 「うめぇ、うめぇのよォ」 その猫はまたゆっくりを探したが見つかることはなかった あるゆっくりは数匹一緒に幻想郷では考えられない街にいた しかし出現した場所が場所だった 後ろにいた少女に一匹が鷲づかみにされた 「ゆっくりしていってね!!!」 ゆっくりは緊張感も無く、いつもの言葉を言った だがその少女は腹が減っており、ゆっくりに噛み付いた 齧られるのではなく、中身を吸い取られるようにしぼむゆっくり それをみたゆっくり達は一目散に少女のいる路地裏から逃げ出した しばらく飛び跳ねると、夜の公園にたどり着いた もちろんゆっくりはこれが公園だとは分からない そしてふとゆっくりが後ろを振り向くと、黒いコートしか着ていない背の高い男がいた その男はゆっくりを不思議そうな目で見ている ゆっくりは男に向かって言う 「ゆっくりしていってね!!!」 男はぎょっとしたような表情になり、ゆっくり達を3匹ほど持ち上げる 男は何か言っていたがゆっくりには理解できない さっきのこともあり、ゆっくりは仲間を救おうと男にぶつかる しかし男は無反応、当然である 男はぶつかてきたゆっくりも拾おうとするが生命の危機を感じたゆっくり、その場から逃げ出してしまった 抱えられたゆっくりはその逃げだしたゆっくりを非難する 男はゆっくりたちが「ゆっくり」という単語に敏感に反応することを知り、 男がお前達はゆっくりできるぞと言うと、ゆっくりは無邪気に喜んだ その後、男の黒い体から出てきた口にゆっくりは飲み込まれた 男は甘い味がするのに驚いていたがゆっくりには関係ない事だった 一方逃げ出したゆっくりは公園の外に向かって跳ねていた もうすぐで出られる…と公園の出口に向かって飛んだ瞬間、そのゆっくりは真っ二つにされた ゆっくりの前にはナイフを持った邪気眼がいた その邪気眼はゆっくりに 「まともじゃないよな、お互いさ」 と言い捨てると、いずこへと去っていった あるゆっくりは草むらにいた 草むらにいると少年にボールをぶつけられた ボールをぶつけっれたゆっくりはボールの中に入り込んで自力では出れなかった 「ここからだして!おうちかえる!!!」 と叫んでみても無駄骨にしかならない そしてしばらくした後ゆっくりは外に出された ゆっくりの正面には今まで見たことのない生き物がいた 訳の分からないままゆっくりは混乱して動けなかった そんなゆっくりを正体不明の生き物は拳で殴りつけた 反撃をしないのをいいことに、何度も何度も殴りつけた そのうちゆっくりの皮が破れ、そこから餡子が溢れ出し、ゆっくりは息絶えた その生き物の拳がグローブみたいになっていることはもう覚えている必要はないに違いない あるゆっくりは箱の中にいた 箱は狭く、上手く動けない しばらくすると、箱の上部分が開いた 「ゆっくりしていってね!!!」 ゆっくりはいつもの台詞を吐いた しかしそれも無駄、ゆっくりは気づいた時は男の口の中だった 「うまい!うますぎる!」 一人の潜入工作員が喜んでいた あるゆっくりは荒野にいた その荒野は鉄やコンクリートがたくさん埋まっていた しかしゆっくりには見慣れない光景である ふと、ゆっくりの近くで大きな音が聞こえた その音はバイクのマフラーの音であることをゆっくりたちは知らない その音はゆっくりに近づいているようだった ゆっくりはいつもの言葉を言おうと思った 「ゆっくりしていtぶぎゅぅ!!?」 ゆっくりは猛スピードで迫りくる車輪に踏み潰された そしてバイクに乗っている男達は 「ヒャッハッハッハッ水だ―――っ!!」 と叫びながら奪った水を浴びていた あるゆっくりは空間と共に粉みじんにされた あるゆっくりは探偵の腹の中に納まった あるゆっくりは床が抜けて海へ大量の人々と共に落とされた あるゆっくりはピンクの悪魔に吸い込まれた あるゆっくりはかもされた あるゆっくりは光の巨人に踏み潰された あるゆっくりは宇宙空間に飛ばされ考えるのをやめた あるゆっくりは改造されてメカゆっくりにされ少年にぼうっきれで叩かれ動かなくなった あるゆっくりはいた星をメテオで砕かれ滅亡させられた あるゆっくりは純粋酸素を吸って動けなくなった あるゆっくりは海の底に沈められた あるゆっくりは朝日と共に灰になった あるゆっくりは… あるゆっくりは… あるゆっくりは… あるゆっくりは家の中にいた しかしその風景はどこかで見覚えのある風景だった 「ゆ!ここならゆっくりできるよ!!!」 ゆっくりは机の上においてある味噌汁をひっくり返して空腹を満たしていた するとどこからか男が現れゆっくりに声をかけた その男の目が殺気に満ちていることは言うまでも無い ゆっくりは当然の顔でいつもの台詞を吐いた 「ゆっくりしていってね!!!」 END by GIOGIO このSSに感想を付ける
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人里から遠く離れた小さな山に、多くのゆっくりが暮らす森がある。 日当たりの良い広場があり、きれいな川が流れ、木の実を付ける広葉樹で構成されており、 小鳥は囀り、げっ歯類以上の大きさの哺乳類はおらず、妖怪も人間も足を踏み入れないというそこは、ゆっくり達の理想郷であった。 そんな美しい森に、とても生存本能の強いゆっくりぱちゅりーが居た。 他のゆっくりぱちゅりーは自らの運命…先天的に病弱で、長生きする事は叶わない自らの体質を受け入れている。 だが流石にこのゆっちゅりーは格が違った。自らの運命を自らの手で(ゆっくりなので手は無いが)変えようと強く思っていた。 ある日ゆちゅりーが短時間の散歩を楽しんでいると、木の洞に詰まって身動きが取れなくなっているゆっくりまりさがいた。 ふと、ゆちゅりーの拙い思考回路があるアイデアを生み出した。 まりさ種はゆっくり達の中でも殊に活動的だ。その点では、ゆちゅりーの理想と言ってもいい。 そのゆまりさの健康で活動的な肉体を得れば、自分もああなれるのではないか。 無論、肉体を手に入れると言っても脳を移植する訳ではない。元よりゆっくりにそのような知識は無い。 あるのは本能だけ。故に、他者の肉体を得る方法はただ一つ。―――食べる事だけだ。 ゆちゅりーは虚ろな表情で、ゆっくりとゆまりさににじり寄る。 「ゆっ!たすけてくれるの!!?ゆっくりひっぱってね!!!」 「…………」 ゆちゅりーは答えない。というか、聞こえていない。今のゆちゅりーにあるのは強烈なまでの食欲だけだ。 「ど、どうしたの!!?さっさとたすけてね!!!」 「…………」 偶然にも周囲にゆっくりの姿は無い。まるでゆっくりの神があるいは悪魔がセッティングしたかのような状況である。 もうゆまりさの体温すら感じられる程に肉薄している。耳障りな雑音も聞こえない。 ぶよぶよと震える皮は美味そうとしか考えられない。 普段は友愛を喚起させられる体臭も今では食欲をそそる香りだ。 肌身離さずかぶっている帽子や、美しい金色の髪に至るまでが御馳走に見える。 そして、 「ゆ゛う゛う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!!!や゛め゛で!!!や゛め゛でよ゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!」 思い切り良く頬に食らいついた。その瞬間、口の中をかつて無いほどの至福が駆け抜けた。 ―――すごい。こんなにまりさがおいしいなんて。ゆめみたい。 全身が四散しそうな程衝撃的な味は、ゆちゅりーを虜にした。 一心不乱にゆまりさを喰らう。否、このゆちゅりーはゆまりさをただ食っているのではない。愛しているのだ。 今のゆちゅりーの最大限の愛情表現こそがこの共食いという最も恐るべき行為だった。 「う゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!どうじで!どうじでごん゛な゛ごどずる゛の゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!」 一口齧る毎に、一声絶叫される毎に、ゆちゅりーは心身共に活力に満ちて行くのを実感していた。 このような感覚は生まれて初めてだった。母の蔓に生まれ、目を覚ました時ですらここまでの爽快感は無かった。 「ぐがが……お゛ぼぉ゛……ゆ゛……ゆ゛ぐぐ……ゆ゛っぐり゛ざぜでね゛!!!!!」 それがこのゆまりさの最期の叫びだった。後はただゆまりさの残骸を余さず食う音だけが響いていた。 「むきゅぅーん……」 ゆちゅりーは涙した。一時の激欲に身を任せて友を食べてしまった自責の念で。 もう二度と自分の知らない場所にまで連れて行ってくれた相手と会えない悲しみで。 そして、身も心もかつてない程のゆっくりに満ち溢れている喜びで。 もっと。もっとこのエネルギーが欲しい。友を喪うのは悲しいけれど、それを遥かに上回る喜びが得られるのなら。 「だから……!(福山潤の声で)」 翌日の朝、ゆちゅりーは森の中を全速力で駆け回っていた。恐らくゆっくりまりさと同等の速度だろう。 ゆちゅりーは感動している。速く走れるとはこんなに素晴らしいことなのか。それもこれもまりさと一つになったお陰だ。 もっとだ。もっと食べれば、もっと生きていられる。もっとゆっくりできる。そう、食えば食う程―――強くなる。 ……新たな餌を、発見した。 数年後、そこにはかつての貧弱さなど微塵も感じさせない力強いゆっちゅりーが居た。 体躯は通常のゆっくりより一回りも二回りも大きく、その眼力に他のゆっくりはただ畏れるしかなかった。 今やゆっくりれみりゃさえもゆっちゅりーには近付かない。 ぱちゅりー種でありながら餌を横取りされたゆっくりれみりゃの群れ十匹を返り討ちにするような怪物に逆らう程、ゆっくりも馬鹿ではないのだ。 そう。今やこのゆっちゅりーはこの森に住まうゆっくり達の王なのである。 好きな時に好きなゆっくりと共にゆっくりし、好きな時に好きなゆっくりを食べる。それが王の在り方だった。 だが、王はこの生活にも飽きてきた。以前とは比較にならない位強大な生命力を得た王にとって、通常のゆっくりでは物足りないのだ。 もっと。もっと大きくて栄養のある餌が欲しい。際限無い欲望を持つという点では、人間の王とゆっくりの王は大差無かった。 決意するのに、そう時間はかからなかった。王はこの楽園を捨て、新天地へ向かう事を決意した。 大丈夫。今の自分は強い。ゆっくりれみりゃやゆっくりフランでさえ自分を恐れて近付かない程に。 どんな敵が現れようと打ち倒し、食べるだけだ。 そうして王は向かった。幻想郷の中心部にある人間の里へ。 森を出て三時間、里の外れの外れにある小さな集落を発見した。 地面にしゃがみ込み何かをしている人間が居る。第一村人発見である。王はこいつが記念すべき最初の人間だと決定した。 射程距離まで音を立てず慎重に移動する。まだだ。あと十ym(ゆっくりメートル)。あと八ym、六ym、よし今だ―――! その瞬間、人間がこちらに気付いた。だが構うものか。後は飛び掛り、組み伏せ、食い尽くすだけなのだから。だが…… 王は知らなかった。ゆっくりと人間など、同じような物だと慢心しきっていた。 世界で最も強かったのはゆっくりフランで、自分はそれ以上の生物なのだと勘違いしきっていたのだ。 そう、つまり―――ゆっくり内での序列がどうあれ、ゆっくりである限り人間の食料に過ぎない事をまるでワカっていなかった。 「ごらー!おらの畑で何しとるだァー!!」 食い物である筈の人間はそう叫ぶと、手に持った棒切れを振りかざし、王の頭に振り下ろした。 ぐしゃり。 決定的な音を、王は確かに聞いた。懐かしい感覚。自分の意識から立ち昇る死の匂い。 嫌だ。せっかく生きられるようになったんだ。こんな絶望から逃げる為に同胞まで食ったんだ。 助けて、助けて、助けてまりさ。れいむ。ありす。にとり。うどんげ。にいと。あやや。てんこ。ちぇん。さくぽ。れみりゃ。フラン。 助けろ!私は、私はお前らの王なんだぞ……!! と、ありえない光景を見た。森に居た多くの仲間達が自分を見ている。ああ、やっぱり助けに来てくれた……皆! 「たすけろ、だってさ」 「おお、いやだいやだ」 大勢の仲間が、嫌な笑顔でこちらを見ていた。 どうしてこんな顔を向けられるんだろう。 どうしてこんな事になってしまったんだろう。 わたしはただ、みんなとゆっくりしたかっただけなのに…… 「おーい母ちゃん。こんなもんが畑を荒らしとったぞー」 「あんらーお前さんそりゃ『ゆっくり』だよぉ。それを里に持っていくと高く売れるんだわー」 「へぇそうかい。そいじゃちょっくら売ってくらぁ。おぅ、種蒔きは代わりにやっといてくれよ」 「そんな事言ってまた遊んでくるんじゃないんだろうね!いやだよこの間みたいに土産とか言ってエロ同人誌五十冊も買って来るのは」 「へっへっへ、もうあんな事はしねえよぉ。んじゃ行って来る」 「全く。気を付けて行って来てなあ!最近は妖怪が出るとか言うけんねー!」 「おおう!妖怪なんざ俺のコブラツイストでボッコボコにしちゃるけん!」 「調子いい事言うんだから。妖怪になんて勝てる訳……おや、何だいこりゃあ」 彼女の足元には文字が刻まれていた。そこはかつての王が息絶えた場所だ。そこにはこう書かれていた。 「ゆっくりしていってね!!!」 DEAD END